申し送り2026.06.16

申し送りの例文集|夜勤・日勤・診療科別の書き方テンプレ20選

看護・介護の申し送り例文を夜勤引継ぎ・日勤・診療科別に20選掲載。SBAR形式の実例、5W1Hの書き方、電子カルテ連動の文例まで。

12分で読める2026.06.16CareShift Media 編集部
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申し送りの例文集|夜勤・日勤・診療科別の書き方テンプレ20選

看護・介護の申し送り例文を、夜勤引継ぎ・日勤・遅番のシフト別に20選まとめました。本記事は「場面別例文マトリクス」に特化し、状態悪化・新規入院・転倒ヒヤリ・処置変更・面会・検査予定など現場で頻出する場面の完成例文をそのまま使える形で収録しています。

SBAR(エスバー)形式の実例5パターン、NG例→OK例の対比、電子カルテ連動の文例まで網羅。基本原則やSBARの組立は看護師の申し送り完全ガイド、空欄の記入フォーマットは申し送りテンプレート完全ガイドで詳述しているため、本記事は「完成例文」に集中します。申し送りの全体像は申し送り 総合ガイドもご覧ください。

日本の特別養護老人ホームのカンファレンスルームで介護士と看護師がタブレットを囲んで勤務交代の申し送りを行う穏やかな場面


1. 申し送り例文を書く前の基本:SBARと5W1Hを60秒で

申し送りの例文を書く前に押さえる基本は2点です。SBAR(状況・背景・評価・提言の4要素)で構造化し、5W1H(いつ・どこで・だれが・だれに・何を・どうした)で事実を過不足なく記載します。保健師助産師看護師法第42条の2が定める療養上の世話の継続性を担保する業務であり、事実と所感を分離した客観的記述が監査・実地指導にも耐えます。本記事は場面別例文に特化し、基本原則の詳細は看護師総論記事へ委ねます。

例文の質は「構造」と「事実の解像度」で決まります。本記事では、この2点を下敷きにしつつ、シフト別・場面別の完成例文を中心に示します。基本原則・SBARの組立手順・診療科別の観察ポイントは、看護師の申し送り完全ガイドで詳述しているため、ここでは要点だけ押さえます。

例文作成の3ステップ

  1. 事実を集める:バイタル数値・実施時刻・患者の訴えを電子カルテと照合し、客観データを先に並べる。
  2. SBARに振り分ける:集めた事実をS(状況)・B(背景)・A(評価)・R(提言)の枠に割り当てる。
  3. 報告基準を数値で:「悪化したら」ではなく「血圧180/110超・SpO2 93%以下で即時報告」など、次シフトが行動できる数値基準を末尾に置く。

本記事の例文フォーマット

本記事の例文は、現場でそのまま使えるよう以下の形式で示します。

  • 【場面】:どのシフトの、どの場面か(例:夜勤→日勤引継ぎ・状態悪化)
  • 【利用者/患者】:年代・性別・主な状態
  • 【状況】:何が起きたかの事実
  • 【記録例】:申し送りにそのまま使える完成文

2. 例文マトリクス20選:シフト(夜勤/日勤/遅番)×場面

申し送り例文は「シフト」と「場面」の2軸で整理すると、次に伝えるべき情報の重点が明確になります。夜勤は状態悪化・新規入院・転倒ヒヤリ、日勤は処置変更・面会・検査予定、遅番・準夜は夕方の変化・家族対応・夜勤への引き継ぎが頻出です。本章は20の場面をマトリクスで一覧化し、各例文を後節で展開します。上位サイトは汎用例文に偏りますが、本記事はシフト別の重点差に特化します。

日本の特別養護老人ホームのナースステーションで介護士2名が電子記録モニターと手元のノートを照合しながら夜勤から日勤への引き継ぎ申し送りを行う清潔な場面

同じ申し送りでも、どのシフトの、どの場面かで伝える重点が変わります。夜勤は「異常の早期察知」、日勤は「処置と予定の確実な共有」、遅番は「夕方の変化と夜勤への引き継ぎ」が中心です。以下のマトリクスで全体像を押さえ、各例文は後節(第3〜5節)で展開します。

シフト別・場面別 例文マトリクス

#シフト場面例文の重点収録節
1夜勤→日勤状態悪化(呼吸)SpO2低下の経過と報告基準第3節
2夜勤→日勤状態悪化(血圧)血圧変動と内服調整第3節
3夜勤→日勤新規入院(夜間)入院経緯・アレルギー・ADL第3節
4夜勤→日勤新規入院(術後)術後バイタル・創部・疼痛第3節
5夜勤→日勤転倒ヒヤリ発生時刻・部位・観察ポイント第3節
6夜勤→日勤不眠・せん妄睡眠薬追加・安全確保第3節
7日勤→遅番処置変更(内服)主治医指示・実施状況第4節
8日勤→遅番処置変更(点滴)持続量・末梢循環・報告基準第4節
9日勤→遅番面会(家族)面会者・伝達内容・心理状態第4節
10日勤→遅番検査予定(翌日)前処置・絶食・同意書第4節
11日勤→遅番検査予定(当日)検査結果・指示待ち第4節
12日勤→遅番リハビリ進捗活動量・疲労度・ADL変化第4節
13遅番→夜勤夕方発熱体温経過・解熱剤効果第5節
14遅番→夜勤夕方の行動変化徘徊・不穏・環境調整第5節
15遅番→夜勤家族からの申し出面会希望・退院調整・相談第5節
16遅番→夜勤創部・排泄の変化創部滲出・排泄回数第5節
17日勤(院内)多職種連携報告PT/OT/薬剤師との共有第4節
18夜勤→日勤輸液ポンプ警報機器異常・対応経過第3節
19日勤→遅番食事形態変更形態・摂取量・むせ込み第4節
20遅番→夜勤夜間の見守り重点転倒リスク・離床予測第5節

シフト別の申し送り重点(3行サマリ)

  • 夜勤:異常の早期察知と報告基準の数値化が中心。新規入院・急変後は全体像を厚く伝える。
  • 日勤:主治医の処置変更・検査予定・面会対応など、予定情報の確実な共有が中心。
  • 遅番:夕方の体調・行動変化と、夜勤への見守り重点の引き継ぎが中心。

3. 夜勤引継ぎの例文(状態悪化/新規入院/転倒ヒヤリ)

夜勤から日勤への引継ぎでは、夜間に生じた異常の経過・新規入院患者の全体像・転倒ヒヤリハットの発生状況を重点的に伝えます。夜間は人員が少なく判断材料が限られるため、次シフトが即座に動けるよう報告基準を数値で明示することが事故防止の鍵です。医療法第6条の10第2項に基づく医療安全管理体制の観点からも、ヒヤリハット事例は必ず口頭と文書で二重に共有します。

夜勤の引継ぎは、日中の業務の安全を左右する最重要ポイントです。以下、現場で頻出する6場面の完成例文を示します。

例文1:夜勤→日勤・状態悪化(呼吸)

  • 【場面】 夜勤→日勤引継ぎ・SpO2低下
  • 【利用者】 80代女性・肺炎Day4
  • 【状況】 3:00にSpO2が93%へ低下、体位変換と吸引で95%に回復
  • 【記録例】 「302室・80代女性・肺炎Day4。3:00 SpO2 93%(2L/Nasal)に低下、右下背部に湿性ラ音。体位変換(半坐位)+吸引(黄白色痰5mL)後、3:20 SpO2 95%に回復。以降95〜96%で安定。朝バイタル:BP124/70・HR82・T37.2・SpO2 96%。日勤は喀痰排出の促通と水分摂取を継続。SpO2 93%以下・T38.5℃超・呼吸数24超で主治医へ即時報告。

例文2:夜勤→日勤・状態悪化(血圧)

  • 【場面】 夜勤→日勤引継ぎ・血圧変動
  • 【利用者】 70代男性・高血圧症内服中
  • 【状況】 2:00に血圧176/104へ上昇、内服調整後に低下傾向
  • 【記録例】 「405室・70代男性・本態性高血圧。基礎内服:カルベジロール・アムロジピン。2:00 BP176/104(訴えなし、頭痛・めまいなし)。主治医電話指示で頓用降圧剤内服、3:30 BP148/90。以降140台で経過。朝バイタル:BP142/86・HR76。日勤は午前中の血圧推移と頭痛の有無を観察。収縮期180超・拡張期110超・頭痛嘔気出現で即時報告。

例文3:夜勤→日勤・新規入院(夜間救急搬入)

  • 【場面】 夜勤→日勤引継ぎ・夜間新規入院
  • 【利用者】 60代女性・胆管炎疑い
  • 【状況】 23:30救急車搬入、発熱と右上腹部痛
  • 【記録例】 「501室・60代女性・23:30救急搬入。主訴:右上腹部痛・発熱。診断:急性胆管炎疑い(主治医〇〇医師)。入院時:BP138/82・HR96・T38.6・SpO2 97%(room air)。アレルギー:セフェム系(発疹歴)。絶食・輸液維持・抗生剤点滴(セフェム以外)開始。ADL:歩行自立・排泄自立。家族(夫)は明朝面会予定。T39.0℃超・血圧低下・意識レベル変化で即時報告。

例文4:夜勤→日勤・新規入院(術後帰室)

  • 【場面】 夜勤→日勤引継ぎ・緊急手術後帰室
  • 【利用者】 50代男性・虫垂炎術後
  • 【状況】 22:00全身麻酔下腹腔鏡手術後帰室
  • 【記録例】 「503室・50代男性・22:00腹腔鏡下虫垂切除術後帰室。全身麻酔。帰室時:BP128/76・HR80・T36.4・SpO2 98%(2L)。創部ドレナージ排液淡血性15mL/h。疼痛NRS3(鎮痛薬内服済)。尿量60mL/h。離床は術後6h以降、歩行器歩行5m目標。創部滲出増加・嘔吐・尿量30mL/h未満で即時報告。

例文5:夜勤→日勤・転倒ヒヤリ

  • 【場面】 夜勤→日勤引継ぎ・夜間転倒ヒヤリ
  • 【利用者】 80代男性・脳梗塞後遺症・右片麻痺
  • 【状況】 2:30トイレへ向かう際に転倒、外傷なし
  • 【記録例】 「204室・80代男性・脳梗塞後遺症。2:30ナースコールなしで離床、トイレ手前で右側に転倒(ヒヤリ)。本人訴えなし、頭部・四肢に外傷・腫脹なし。バイタル:BP132/78・HR72・SpO2 96%。JCSで異常なし。15分間観察し異常なし。**日勤は頭痛・嘔吐・意識レベル変化の有無を24時間観察。夜間はセンサーマット設置、離床時は職員同行を徹底。**インシデント報告書は夜勤内に提出済。」

例文6:夜勤→日勤・輸液ポンプ警報

  • 【場面】 夜勤→日勤引継ぎ・機器トラブル
  • 【利用者】 70代女性・輸液維持中
  • 【状況】 4:00輸液ポンプ閉塞警報、回路閉塞を確認
  • 【記録例】 「301室・70代女性・輸液維持(維持量80mL/h)。4:00輸液ポンプ閉塞警報。確認:IVカテーテル先端の屈曲が原因。固定し直し、4:10再開。以降警報なし。穿刺部に発赤・腫脹なし。日勤は穿刺部の浸潤兆候を2時間ごと観察。総量は予定通り進行。

転倒・ヒヤリハットの報告書作成や、事故防止の観察の視点は、ヒヤリハット報告書の書き方介護のモニタリング完全ガイドで詳述しています。


4. 日勤申し送りの例文(処置変更/面会/検査予定)

日勤の申し送りでは、主治医による処置変更・内服調整・検査予定・面会対応など、予定情報を確実に共有することが中心です。日勤は多職種(医師・薬剤師・リハビリ職)との接点が最も多いシフトであり、口頭で伝えた指示は速やかに電子カルテへ反映し、次シフトが確認できる状態を保ちます。検査の前処置(絶食・前処置薬・同意書)は漏れると当日の検査が延期になるため、必ず報告基準として明示します。

日勤は情報の出入りが最も激しいシフトです。処置変更と予定情報を「事実+報告基準」で確実に引き継ぐ6場面を示します。

例文7:日勤→遅番・処置変更(内服)

  • 【場面】 日勤→遅番引継ぎ・内服追加指示
  • 【利用者】 70代男性・2型糖尿病
  • 【状況】 午後の回診で血糖降下薬が追加
  • 【記録例】 「302室・70代男性・2型糖尿病。14:00回診で主治医よりグルメピリド1mg朝食後追加指示。電子カルテ登録済、本日夕食後は対象外。朝食後血糖180、昼食後血糖210。遅番は夕食前血糖の測定(予定17:30)と、低血糖症状(冷汗・手指振戦)の有無を観察。血糖70未満・冷汗・意識レベル変化で即時報告。

例文8:日勤→遅番・処置変更(点滴)

  • 【場面】 日勤→遅番引継ぎ・点滴量調整
  • 【利用者】 80代女性・脱水・心不全既往
  • 【状況】 午前の回診で輸液量が減量
  • 【記録例】 「405室・80代女性・脱水加療中(心不全既往)。11:00主治医指示で輸液を100mL/h→60mL/hに減量。理由:午前のBNP上昇・肺うっ血所見。12:00以降60mL/hで継続、穿刺部異常なし。尿量は8hで120mL(やや少なめ)。遅番は尿量・下肢浮腫・呼吸状態を観察。尿量30mL/h未満・SpO2 92%以下・呼吸数24超で即時報告。

例文9:日勤→遅番・面会(家族)

  • 【場面】 日勤→遅番引継ぎ・家族面会対応
  • 【利用者】 60代男性・終末期がん
  • 【状況】 午後に妻と長女が面会、病状説明の希望あり
  • 【記録例】 「501室・60代男性・終末期肺がん。14:30〜15:30妻・長女が面会。面会中、患者は意識清明で家族との会話を楽しんだ。長女より『今後の見通しを聞きたい』との申し出。主治医面談は明日10:00に調整済。家族は帰宅後も電話で随時連絡可。遅番は患者の疲労度・疼痛スコア・レスキュー使用回数を観察。家族来室時は看護師同席を依頼。」

例文10:日勤→遅番・検査予定(翌日)

  • 【場面】 日勤→遅番引継ぎ・翌日上部消化管内視鏡
  • 【利用者】 70代女性・貧血精査
  • 【状況】 翌朝の内視鏡検査に向けた前処置
  • 【記録例】 「203室・70代女性・貧血精査。翌日9:00上部消化管内視鏡検査予定。前処置:21:00から絶食(清水可は20:00まで)。同意書は日勤内に署名済。前処置薬(下剤)は遅番20:00に内服予定。検査衣への着替えは夜勤担当。絶食開始時刻・前処置薬の内服を必ず実施。嘔吐・腹痛出現で即時報告。

例文11:日勤→遅番・検査予定(当日結果待ち)

  • 【場面】 日勤→遅番引継ぎ・当日CT施行後
  • 【利用者】 50代男性・腹痛精査
  • 【状況】 午後に腹部CT施行、結果待ち
  • 【記録例】 「504室・50代男性・腹痛精査。14:00腹部CT施行(造影剤使用、アレルギー反応なし)。結果は主治医確認待ち、夕方回診で説明予定。検査後のバイタル安定(BP130/80・HR76)、造影剤による腎機能への影響に配慮し水分摂取を促進中。遅番は尿量・水分摂取量・腹部症状を観察。結果判明後は主治医指示に従い対応。

例文12:日勤→遅番・リハビリ進捗と食事形態変更

  • 【場面】 日勤→遅番引継ぎ・リハビリと食事形態
  • 【利用者】 80代男性・脳梗塞回復期
  • 【状況】 午前のPTで歩行距離が延長、昼食から常食に変更
  • 【記録例】 「204室・80代男性・脳梗塞回復期。PT:T字杖歩行10m→20mに延長(10:00)、疲労軽微。昼食から常食(形態:常食・一口量:通常)に変更、摂取率80%、むせ込みなし。ADL:見守みで歩行可。遅番は夕食時のむせ込み・摂取率・午後の疲労度を観察。むせ込み・摂取率50%未満で報告、次回リハ評価へ反映。

例文17:日勤(院内)・多職種連携報告

  • 【場面】 日勤→遅番引継ぎ・薬剤師・PTとの共有
  • 【利用者】 70代女性・多剤内服・術後リハ
  • 【記録例】 「301室・70代女性。薬剤師より:内服7剤のうち2剤を一包化する提案(服薬自己管理の負荷軽減)、主治医承認待ちPTより:午後から階段昇降練習を追加(昇り良好・降り見守み)。遅番は一包化の可否が判明次第、服薬指導の実施と家族への説明を依頼。階段練習後の疲労・膝痛の有無を観察。」

5. 遅番・準夜の例文(夕方の変化/家族/夜勤への引き継ぎ)

遅番・準夜の申し送りは、夕方に生じた体調・行動の変化と、夜勤への見守り重点の引き継ぎが中心です。夕方は帰宅希望や面会者増加で患者の感情が動きやすく、徘徊・不穏・不眠の兆候が出やすい時間帯でもあります。夜勤は人員が少ないため、見守りが必要な患者・報告基準・環境調整の状況を、遅番から夜勤へ確実に引き継ぐことが事故防止の要となります。

遅番の引継ぎは、夜勤の安全を支える最後の関門です。夕方の変化と見守り重点を5場面で示します。

例文13:遅番→夜勤・夕方発熱

  • 【場面】 遅番→夜勤引継ぎ・夕方発熱
  • 【利用者】 60代女性・術後Day2
  • 【状況】 17:00に38.1℃へ発熱、解熱剤内服後も下がらず
  • 【記録例】 「302室・60代女性・術後Day2。17:00 T38.1℃に発熱(創部痛なし、咳嗽なし)。主治医指示で解熱剤内服、18:30 T37.8℃。以降37.7〜37.9℃で経過。創部発赤・滲出なし、尿量は保たれている。夜勤は2時間ごとの体温測定と創部観察を依頼。T38.5℃超・創部発赤滲出増加・血圧低下で即時報告。

例文14:遅番→夜勤・夕方の行動変化(徘徊・不穏)

  • 【場面】 遅番→夜勤引継ぎ・夕方の徘徊
  • 【利用者】 80代男性・認知症(アルツハイマー型)
  • 【状況】 17:30から他者の部屋へ入る行動が増加
  • 【記録例】 「204室・80代男性・アルツハイマー型認知症。17:30頃から他者の部屋へ入る行動が3回発生、声掛けで自室に戻る。原因推測:家族面会後の不安・夕方症候群(サンダウニング)。夕食は50%摂取。環境調整:自室の照明を明るく、見守り強化中。夜勤は30分ごとの見守り、離床時は必ず職員が同伴。外出行動・不穏の激化で即時報告。

例文15:遅番→夜勤・家族からの申し出

  • 【場面】 遅番→夜勤引継ぎ・家族の相談
  • 【利用者】 70代女性・回復期リハビリ
  • 【状況】 家族より退院後の住まい相談あり
  • 【記録例】 「405室・70代女性・脳梗塞回復期。18:00長男より『退院後は自宅でみたいが、住宅改修やサービスが心配』との相談。MSW(医療ソーシャルワーカー)面談は翌日10:00に調整済。家族は帰宅、夜間の電話連絡可。夜勤は患者の心理状態(不安の訴え)と睡眠の質を観察。翌日MSW面談の実施と家族への連絡を日勤へ引き継ぎ。」

例文16:遅番→夜勤・創部・排泄の変化

  • 【場面】 遅番→夜勤引継ぎ・創部滲出増加
  • 【利用者】 60代男性・術後Day5
  • 【状況】 夕方に創部の滲出がやや増加
  • 【記録例】 「501室・60代男性・術後Day5。17:00ガーゼ交換時、創部の淡血性滲出が前日比でやや増加(創部長さ2cm、発赤なし、熱感なし)。主治医に連絡済、経過観察の方針。疼痛NRS2。体温37.3℃。夜勤は6時間ごとのガーゼ確認と体温測定を依頼。滲出の急増・膿性変化・発熱38℃超で即時報告。

例文20:遅番→夜勤・夜間の見守り重点

  • 【場面】 遅番→夜勤引継ぎ・見守り重点患者の集約
  • 【利用者】 複数患者の集約
  • 【状況】 夜勤で重点的に見守るべき患者のまとめ
  • 【記録例】 「本日、夜間の見守り重点は3名。①204室:夕方徘徊あり・30分ごと見守り・離床時同行。②302室:夕方発熱37.9℃・2時間ごと体温測定。③503室:術後Day1・尿量と創部の経過観察。上記3名は夜勤リーダーも巡回。それ以外は安定経過。全患者の夕方バイタルは安定。検査予定:204室(翌日血液)。」

6. SBAR形式の実例5パターン(シフト適用)

SBAR(状況・背景・評価・依頼)の4枠構造を示すシンプルな図解

SBAR(状況・背景・評価・提言)をシフト別の場面に適用した実例を5パターン示します。SBARは米国医療機関合同委員会(JCAHO)がハンドオフ標準手法として採用し、日本でも医療安全推進の文脈で普及した構造化コミュニケーションの枠組みです。本節はSBARを「シフトの引き継ぎ」に当てはめた応用例に絞り、SBARの基本定義と診療科別の観察ポイントは総論記事へ委ねます。

SBARをシフト別の場面に当てはめると、どのタイミングで伝えるべきかが明確になります。SBARの基本定義・4要素の解説・診療科別(循環器・消化器外科・脳神経・緩和ケア・透析)のSBAR例文は、看護師の申し送り完全ガイドで詳述しています。本節は「同じ場面をSBARで組み立て直す」という応用に絞ります。

パターン1:夜勤発見→日勤引継ぎ(SBAR)

  • S(状況):302室・80代女性・肺炎Day4。3:00にSpO2 93%へ低下。
  • B(背景):2L/Nasal酸素投与中。基礎:慢性閉塞性肺疾患。朝のSpO2は96%。
  • A(評価):痰貯留による換気低下の可能性。吸引で一時改善も再発リスクあり。
  • R(提言):日勤は喀痰排出促進と水分補給を継続。SpO2 93%以下・呼吸数24超で主治医へ即時報告。

パターン2:日勤処置変更→遅番引継ぎ(SBAR)

  • S(状況):405室・80代女性・脱水加療中。11:00に輸液量を減量。
  • B(背景):心不全既往。午前のBNP上昇・肺うっ血所見で主治医判断。
  • A(評価):体液過剰の進行リスク。尿量はやや少なめ。
  • R(提言):遅番は尿量・下肢浮腫・呼吸状態を観察。尿量30mL/h未満・SpO2 92%以下で即時報告。

パターン3:遅番発熱→夜勤引継ぎ(SBAR)

  • S(状況):302室・60代女性・術後Day2。17:00にT38.1℃へ発熱。
  • B(背景):創部痛なし・咳嗽なし。解熱剤内服で37.8℃まで低下。
  • A(評価):術後感染の初期兆候を否定できない。創部所見は現在陰性。
  • R(提言):夜勤は2時間ごとの体温測定と創部観察。T38.5℃超・創部発赤滲出増加で即時報告。

パターン4:夜勤転倒→日勤引継ぎ(SBAR)

  • S(状況):204室・80代男性。2:30にトイレ手前で転倒(ヒヤリ)。
  • B(背景):脳梗塞後遺症・右片麻痺。ナースコールなしで離床。
  • A(評価):外傷なし、意識レベル異常なし。再発リスク高い。
  • R(提言):日勤は24時間の頭部観察。夜間はセンサーマット設置、離床時は職員同行。インシデント報告書は夜勤内に提出済。

パターン5:日勤面会→遅番引継ぎ(SBAR)

  • S(状況):501室・60代男性・終末期がん。14:30に妻・長女が面会。
  • B(背景):緩和ケアチーム介入中。患者の希望「可能な限り自宅」。
  • A(評価):家族の不安高まり。病状説明の希望が出ている。
  • R(提言):遅番は疼痛スコア・レスキュー回数を観察。家族来室時は看護師同席。主治医面談は翌10:00に調整済。

7. NG例→OK例の対比:主観的表現の排除

申し送り例文の改善で最も多い指摘は「主観的表現の混入」です。事実と所感(職員の解釈)を分離し、数値・時刻・具体的行動で記述すると、次シフトが状況を再現でき監査にも耐えます。本章は現場で頻出するNG表現をOK例に書き換えた対比表を示します。介護記録・看護記録に共通する原則であり、詳細は関連記事で総論化しています。

申し送りに限らず、記録の質は「事実の解像度」で決まります。以下の対比表を書き直しの参考にしてください。事実と所感の分離・5W1H・結論ファーストの方法論は、介護記録の書き方完全ガイド看護記録SOAPの書き方で共通して詳述しています。

NG例→OK例 対比表

場面❌ NG(主観的)✅ OK(客観的)
体調「だいたい元気です」「BP128/72・HR78・T36.8・SpO2 96%(8:00)。訴えなし」
疼痛「痛がっていたので薬を出しました」「14:00 NRS7を訴え、14:30鎮痛薬内服、15:00 NRS3に軽減」
食事「よく食べていました」「昼食おかず全量摂取・ご飯80%・所要時間25分・むせ込みなし」
排泄「排泄は問題なし」「本日排便1回(普通便・量中)・排尿自立・8回/日」
転倒リスク「気をつけて見てください」「前日22時に夜間単独歩行で転倒歴。離床時は職員同行」
報告基準「悪化したら連絡を」「血圧180/110超・SpO2 92%以下・JCS1桁悪化で即時報告」
面会「家族が来ていました」「14:30〜15:30妻が面会。退院後の住まい相談あり」
心理「不安そうでした」「『家に帰りたい』と3回発言。15:00以降は眠られず」
検査「検査がありました」「14:00腹部CT施行(造影あり)。結果は主治医確認待ち」
機器「ポンプが鳴りました」「4:00輸液ポンプ閉塞警報。回路屈曲が原因、4:10再開」

主観的表現を排除する3つのコツ

  1. 数値で示す:「安定」ではなく「BP128/72・HR78」など測定値を併記する。
  2. 時刻で示す:「さっき」ではなく「14:00」など具体的な時刻を書く。
  3. 行動で示す:「不安そう」ではなく「『家に帰りたい』と3回発言」など観察可能な事実を記す。

8. 電子カルテ連動の申し送り文例

日本のデイサービスで介護士がハンディターミナルを操作して申し送りを記録する手元のクローズアップ

電子カルテの普及により、申し送りは「口頭のみ」から「電子カルテの参照を前提とした文書」へ移行しています。本章は電子カルテのサマリ画面・指示履歴・観察記録と連動させた申し送り文例を示します。重要事項(時間厳守指示・重篤アレルギー・急変後の報告基準)は電子カルテと口頭の二重共有が原則で、医療法第6条の10第2項の医療安全管理体制の観点からも、重要情報は文書化を併用します。

電子カルテと連動させることで、口頭負荷を減らしつつ情報精度を保てます。本節は3つの文例を示します。電子カルテ運用の効率化モデル(サマリ活用・リーダー間引き継ぎ・ハンディ端末運用)は、看護師の申し送り完全ガイドで詳述しています。

文例1:電子カルテサマリを前提とした申し送り

  • 【場面】 日勤→遅番・サマリ画面参照運用
  • 【記録例】 「302室・肺炎Day4。詳細はサマリ画面参照(バイタル・処置・検査結果を更新済)。口頭で共有するのは変化と要アクションの3点のみ:①SpO2が朝96%→昼95%と緩やかに低下傾向。②14:00抗生剤点滴完遂、次回は20:00。③喀痰排出の促通と水分500mL摂取を依頼。報告基準:SpO2 93%以下・T38.5℃超で即時報告。」

文例2:指示履歴との連動(時間厳守指示)

  • 【場面】 日勤→遅番・時間厳守指示の引継ぎ
  • 【記録例】 「405室・輸液維持中。電子カルテの指示履歴に14:00・20:00・翌2:00の抗生剤点滴を登録済(時間厳守指示・フラグ付き)。遅番は20:00の実施を確実に。次シフトは開始15分前からアラート運用。時間厳守指示は口頭でも必ず共有(二重化)。実施漏れ・遅延は即時報告。」

文例3:観察記録との連動(ハンディ端末入力)

  • 【場面】 遅番→夜勤・ベッドサイド入力済みデータの引継ぎ
  • 【記録例】 「204室・80代男性。17:00・18:00・19:00の巡回観察はハンディ端末から入力済(行動・排泄・バイタル)。遅番の要点:17:30から他室への出入り3回・声掛けで自室に戻る。夕食50%摂取。**夜勤は端末の観察記録を参照のうえ、30分ごとの見守りと離床時の職員同伴を依頼。**外出行動・不穏の激化で即時報告。」

電子カルテと口頭の連動、および重篤アレルギーの三重共有(電子カルテ+口頭+ベッドサイド掲示)は、インシデント事例の再発防止策として看護師の申し送り完全ガイドで詳述しています。


9. まとめ:場面別例文で申し送りの質と効率を両立する

本記事は、申し送りの場面別例文マトリクス20選に特化しました。夜勤(状態悪化・新規入院・転倒ヒヤリ)、日勤(処置変更・面会・検査予定)、遅番(夕方の変化・見守り重点)をシフト別に整理し、SBARのシフト適用例、NG例→OK例の対比、電子カルテ連動の文例まで収録しました。

例文を活用する3ステップ

  1. 場面を特定する:どのシフトの、どの場面か(第2節のマトリクスで照合)。
  2. SBARに当てはめる:事実をS・B・A・Rの枠に振り分け(第6節の応用例を参考)。
  3. 報告基準を数値で:次シフトが行動できる数値基準を末尾に必ず置く。

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申し送りは、シフト間の患者の安全とケアの継続を支える中核業務です。本記事の場面別例文とNG→OK対比が、明日の業務でそのまま使える一助となれば幸いです。

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CareShift Media 編集部

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