介護記録AI完全ガイド|音声入力で記録時間を70%削減・導入手法と2026年最新ツール比較
この記事の要点 介護記録AIとは、音声入力や自然言語処理を用いて、介護職が口頭で伝えたケア内容を自動的にSOAP形式などの記録に書き起こすツールです。2026年現在、記録NAVI・ながらかいご・タップカルテ・むすぼなAI・ケア記録アシスト(Gemini)などが実用化されており、記録作成時間を最大70%削減した事例が報告されています。本記事では介護記録に特化した専用システムの比較と、失敗しない導入ステップを解説します。汎用LLM(ChatGPT等)での記録生成は「ChatGPTで介護記録を作成」、SOAP形式特化は「SOAP AI 作成」、生成AI総論は「生成AI×介護」へ送客します。
DX・AI活用の記事一覧|ChatGPTで介護記録を作成|SOAP AI 作成
1. 介護記録AIとは?なぜ今、必要なのか
介護現場の最大の悩みは「記録の負担」です。 厚生労働省の調査でも介護職の人手不足は深刻で、限られた職員でサービスを維持するには記録業務の効率化が急務です。AIによる記録自動化は、この課題に直接アプローチする技術として2026年に急速に普及しています。
介護記録は、法令上サービス提供の都度作成が義務付けられており(介護保険法・老企第27号「介護記録の適切な作成・保存について」)、手書きや手打ちでは1日の記録だけでも1〜2時間を要します。介護記録AIは、この時間を劇的に短縮します。
リクルートワークス研究所が引用する厚生労働省の調査では、介護職員1人あたりの職務時間に占める記録業務の割合は**7.3%**に上り、残業の主要因とされます。この負担を減らす手段として、介護記録AIの導入が2026年に加速しています。
介護記録AIが解決する4つの課題:
- 記録時間の削減: 音声入力や文例選択で入力時間を1/3〜1/5に圧縮
- 記載漏れの防止: 時系列で口頭記録すれば、後からまとめて整理できる
- 表現の統一: AIが施設のフォーマット(SOAP等)に沿って整形し、職員間のばらつきを減らす
- 直接介護時間の確保: 記録に取られていた時間を利用者ケアへ振り向ける
2. 介護DX・ICT・AI 違い比較表
「DX」「ICT」「AI」は混同されがちですが、役割が異なります。 導入前に何を解決したいかで選ぶ技術が変わります。
| 用語 | 意味 | 介護での役割 | 代表例 |
|---|---|---|---|
| 介護DX | 業務全体のデジタル変革(概念) | 紙の廃止・情報共有の仕組み化 | 電子すカテ・クラウド介護ソフト |
| 介護ICT | 情報通信技術による見守り・連携 | バイタル自動計測・見守りセンサー | 見守りセンサー・スマートウォッチ |
| 介護記録AI | AIによる記録自動生成 | 音声→SOAP記録の自動作成 | 記録NAVI・ながらかいご・タップカルテ |
| 介護ソフト | 業務管理システムの総称 | 請求・実績・記録の統合管理 | 介護ソフト各社(カイポケ・ワイズマン等) |
導入の基本方針: まず「何の業務を効率化したいか」を明確にし、そこから最適な技術(DX全体/ICT/AI/ソフト)を選ぶのが成功の近道です。
3. 介護記録を自動化する4つの技術
記録の自動化は「音声入力」「文例選択」「センサー連携」「自動連動」の4技術に分類できます。 施設の課題(入力時間・転記・標準化・集計のいずれが重いか)によって向いている技術が変わります。
| 技術 | 仕組み | 向いている施設・課題 | 留意点 |
|---|---|---|---|
| 1. 音声入力型 | 介助内容を声で入力しAIが記録化 | その場入力を増やしたい施設・後回し記録の課題 | 騒音・専門用語・誤認識の確認フロー |
| 2. 文例選択・入力支援型 | 文例や候補を選んで記録文を作成 | 記録表現を標準化したい施設・教育負担の課題 | 自由記述が多い運用には調整が必要 |
| 3. センサー連携型 | バイタル・行動データを自動取得し記録化 | 夜間離床・バイタル入力負担の課題 | プライバシー設計・測定精度の確認 |
| 4. 自動連動(転記自動化)型 | 入力内容を日報・申し送り・LIFEへ自動反映 | 二重入力・本部集計の課題・複数施設法人 | 既存ソフトとのAPI/CSV連携設計 |
音声入力型は**「介助を止めずにその場で記録を完結できる」点が最大の強みです。文例選択型は「職員間の記載ばらつきを減らし標準化する」点に優れます。センサー連携型は「測定と同時に数値が記録され、打ち間違いを防ぐ」点が特徴です。自動連動型は「一度の入力で転記・集計まで完了する」**点で複数施設法人に効果を発揮します。
4. 【2026最新】介護記録AIツール・専用システム比較
介護記録に特化したAIツールは、2026年に実用段階に入りました。 ここでは専用システム(記録NAVI・ながらかいご・CareViewer・ハナスト・ワイズマン等)と、無料で試せる汎用AIアプローチを中立的に比較します。
専用システム比較表
| サービス | 提供元 | タイプ | 価格目安 | 向いている施設 |
|---|---|---|---|---|
| 記録NAVI | 三菱電機デジタルイノベーション | 文例選択・入力予測 | 端末1台 月額1,100円(税込)・初期費用0円 | 記録の標準化・入力負担軽減を狙う中小施設 |
| ながらかいご | ながらかいご | 音声AI・SOAP自動生成 | 要問合せ(SaaS) | ケア中の自然な会話で記録を完結させたい施設 |
| CareViewer | さくらコミュニティサービス | 介護記録ソフト一体型 | 要問合せ | 記録ソフト自体を見直したい中規模施設 |
| ハナスト | ハナスト | AI音声入力ソフト | 要問合せ | 介助中・移動中の音声記録を増やしたい施設 |
| ワイズマン 音声記録AI | ワイズマン | 介護ソフト標準搭載の音声AI | 既存ユーザーは追加導入なしで利用可 | ワイズマン既存ユーザーの施設 |
| タップカルテ | tap-karte | 音声入力→記録自動整形 | 無料〜 | SOAP形式対応・専門用語高精度認識を試したい施設 |
| むすぼなAI | 株式会社やさしい手 | 介護現場特化AI(Bedrock基盤) | 要問合せ | 帳票・計画書作成まで含めたい施設 |
| ケア記録アシスト | GeminiのGem機能(Workspace限定) | Google Workspace限定 | 施設フォーマットにカスタマイズしたい施設 |
各サービスの差別化ポイント:
- 記録NAVI(三菱電機)は、実際の現場の記録を元にAIが作成した文例から選んで記録を作る入力予測ツール。端末1台あたり月額1,100円(税込)・初期費用0円という低価格で、専門用語の「よみ」表示にも対応。記録の標準化と入力負担軽減を同時に狙う小規模施設に向いています。
- ながらかいごは、スタッフがスマートフォンを持ちながら利用者と会話するだけで、AIがリアルタイムで内容を記録・整理し、SOAP形式の記録を自動生成する音声AIサービス。「記録のための会話」ではなく自然なケアの中で記録が完成する点が特徴で、導入施設では年間10,000時間以上の記録業務削減が報告されています。
- CareViewer(さくらコミュニティサービス)は、スマホ・PCで介護記録を行い音声入力にも対応する介護記録ソフト一体型。リクルートワークス研究所のインタビューでも紹介された実証モデルです。
- ハナストはインカム連携で介助中・移動中の音声記録を実現。ナースステーションへの戻りを減らす効果が期待できます。
- ワイズマン(介護ソフト大手)は2026年3月に音声入力×生成AIによる記録自動生成機能を正式リリース。既存ユーザーが追加導入なしにすぐ使い始められる点で、音声AI記録が「一部先進施設の技術」から「業界標準」へ移行する象徴的な事例です。
汎用LLM(ChatGPT等)との違い:これら専用システムは介護記録の様式・専門用語・既存介護ソフト連携に最適化されている点が、ChatGPT等の汎用LLMと大きく異なります。汎用LLMでの記録生成手法は「ChatGPTで介護記録を作成」で、SOAP形式特化は「SOAP AI 作成」で解説しています。
ChatGPT・Claudeを「介護記録AI」として使う方法
専用システムを導入する前に、まずは汎用AI(ChatGPT・Claude)で記録作成を試す現場も増えています。無料版でも以下のプロンプトでSOAP記録を生成できます。
プロンプト例(コピー&ペーストで使える):
あなたは介護記録の専門家です。
以下のケア場面のメモから、SOAP形式の介護記録を作成してください。
【場面】食事(見守り)
【メモ】
- 昼食にご飯5割、味噌汁全量、主菜3割摂取
- スプーン使用、食事時間35分(通常20分)
- 水分摂取時に2回むせ込み
- 「自分で食べたい」と話された
【ルール】
- Sは利用者の言葉を「」で記載
- Oには数値を含める
- Aは根拠に基づく判断
- Pは「誰が・いつまでに・何を」を明記
使い分け:
- ChatGPT: 1件の記録を素早く作成。アプリ版の音声入力との相性が良い
- Claude: 複数場面をまとめて生成したい場合や長文の詳細記録に適する
注意: AIツールは記録作成の補助です。生成された内容は必ず職員が事実確認し、必要に応じて修正・署名してください。個人情報の取り扱いには十分配慮し、利用者固有の識別情報をそのまま入力しない等の運用ルールを定めましょう。
5. 音声入力AIで記録を作る仕組み:4ステップ
この節の要点 音声入力AIで介護記録を作る仕組みは、音声入力、文字起こし、AI構造化、職員確認の4ステップで成り立ちます。職員がスマートフォンに話しかけた内容がAIで文字化され、介護記録の様式に沿って構造化された後、職員が事実誤りや個人情報の残存を確認して保存します。介助を止めずにその場で記録が完結し、記憶違いや入力漏れを防げます。
ステップ1:音声入力 介助直後に職員がスマートフォン(またはインカム)に話しかけ、観察要点を事実と数値で伝えます。氏名や生年月日は最初から記号や年代に置き換えます。
ステップ2:文字起こし 音声認識(Whisper等)が音声をテキスト化します。騒音環境や専門用語(褥瘡・嚥下・臀部など)の誤認識を想定し、辞書登録や後処理で補正します。
ステップ3:AI構造化 生成AIがテキストを介護記録の様式(日時・ADL・状態観察・介助内容)に沿って構造化し、施設共通フォーマット・文字数・トーンの記録文を出力します。
ステップ4:職員確認・保存 職員が出力を読み返し、事実誤り・専門用語の誤用・個人情報の残存を確認・修正した上でシステムへ保存します。監修は事故時の証拠能力を担保するため必ず挟みます。
記録の書き方そのもの(5W1H・客観的事実)の基本は「介護記録の書き方」で解説しています。音声入力AIはこの書き方の負担を減らす手段であり、記録の質そのものを支える基本は変わりません。
6. 介護記録AIの導入ステップ(失敗しない3ヶ月ロードマップ)
ステップ1:現状把握(Week1-2)
記録業務を作成・転記・確認・申し送り・集計に分けて時間計測します。代表パターン10-20件を収集し、先行職員を数名決めます。削減目標を数値で設定します。
ステップ2:ツール選定と並行運用(Week3-4)
無料ツール(ChatGPT等)で小規模テスト→有料専用ツール(記録NAVI・タップカルテ等)の検討、という順がリスクが低いです。既存記録と並行運用し、音声認識ミス・入力漏れ・つまずきポイントを記録します。
ステップ3:セキュリティ・法令確認
個人情報保護方針、利用契約、AI学習へのデータ利用有無を確認します。施設長・情報管理者と合意形成します(第8章で法令根拠を整理)。
ステップ4:運用ルール固定(Month2)
入力してよい情報・確認者・修正者・承認者を明文化。入力してよい情報・専門用語・利用者名の扱いを整理します。既存ソフトへの転記方法(CSV/API/RPA)を決定します。
ステップ5:パイロット導入と効果測定(Month3)
1フロア・数名の職員で1ヶ月試行し、効果(記録時間・転記回数・記録漏れ・職員満足度・管理者確認時間)と課題を検証します。成果が見えたら運用マニュアルを作成し全施設展開へ。
効率を上げる話し方のコツ:
- ケア直後にその場で音声メモを残す(後でまとめて思い出すと時間がかかる)
- 「場面・観察事実・対応」を箇条書きで話すとAIが構造化しやすい
- 専門用語(麻痺の部位・バイタル数値等)はゆっくり明確に発音する
7. 施設規模別の費用対効果(ROI)・補助金
介護記録AIの費用対効果は、おおよそ次の式で概算できます。月間削減効果=月間削減時間×職員の時間単価/実質月間効果=月間削減効果-月額費用/初期投資回収月数=初期費用÷実質月間効果。削減率は導入製品と運用設計で大きく変わるため、以下は判断のたたき台です。
施設規模別のROI試算(たたき台)
| 規模 | 職員数 | 月間削減時間 | 月間削減効果 | 回収目安 |
|---|---|---|---|---|
| 10名規模(グループホーム) | 5名 | 約66時間 | 約10.1万円 | 初期費60万・月4万→約9.8ヶ月 |
| 30名規模 | 12名 | 約238時間 | 約36.6万円 | 初期費220万・月6万→約7.2ヶ月 |
| 50名規模以上 | 20名 | 約550時間 | 約84.6万円 | 初期費300万・月8万→約3.9ヶ月 |
時間単価は年収320万円・年間労働2,080時間(約1,538円)で試算しています。実際には賞与・処遇改善加算・残業代・夜勤手当を含めて計算します。小規模施設では初期費用が大きいほど回収に時間がかかるため、まずは記録入力や申し送りなど負担が大きい一点に絞ったスモールスタートが現実的です。
令和8年度 介護テクノロジー導入支援事業(最大75%補助)
令和8年度の「介護テクノロジー導入支援事業」では、介護ロボットやICT機器(音声記録AI・見守りシステム等を含む)の導入を最大補助率4分の3(75%)で支援します。複数機器のパッケージ導入で補助額が加算される仕組みもあり、申請期限を逃すと次年度まで待つ必要があります。IT導入補助金(中小企業基盤整備機構)や各自治体の独自助成も選択肢に入ります。年度・対象は変更されるため、必ず公式情報でご確認ください。
無料で介護記録AIを試す方法(介護記録アプリAI無料・介護記録AI無料作成)
この節の要点 介護記録AIを無料で試すには、①タップカルテ(無料枠あり)②ChatGPT・Claude無料版 ③スマホ標準の音声入力+無料AI整形、の3ルートがあります。いずれも匿名化が前提で、事業所全体の本格運用には法人向け環境への移行が必要です。
「介護記録アプリAI無料」「介護記録AI無料作成」で検索する方が増えています。費用をかけずに記録AIの効果を確認できるルートは次の3つです。
| ルート | ツール | できること | 留意点 |
|---|---|---|---|
| 1. 無料枠ありの専用アプリ | タップカルテ | 音声入力→SOAP整形・専門用語認識 | 無料枠の上限・機能制限を確認 |
| 2. 汎用AIの無料版 | ChatGPT・Claude・Gemini | 匿名化メモの記録文整形(プロンプト式) | 学習データ利用規約・匿名化必須 |
| 3. スマホ音声入力+AI整形 | iPhone/Android標準入力+ChatGPT | 音声メモ→テキスト化→AIで様式整形 | 二段階だが導入コストゼロ |
無料試行の進め方:
- 記録1業務に絞る: まず「日中の介護記録」など1場面だけ匿名化ルールを定めて試します。
- プロンプトを共有: 第4章のプロンプト例を施設用に調整し、ChatGPTに事前指示として教え込みます。
- 効果を数値で測る: 試行前後の記録所要時間を計測し、削減効果を確認します。効果が見えれば有料の専用システム(記録NAVI・ながらかいご等)や法人向け環境(ChatGPT Team等)への移行を判断します。
注意: 無料版では学習データに使われる可能性があるため、氏名・生年月日・住所等の本人特定情報は必ず匿名化してください(個人情報保護法第25条)。匿名化済みの試行段階なら無料版でも安全に始められます。
無料AI体験ツールで記録自動化の流れを体験
当メディアの無料AI体験ツール(登録不要・無料)で、音声入力からAI整形までの記録自動化の流れを体験いただけます。ケアプラン生成の有料機能は「AIでケアプラン作成」でご案内しています。
8. LIFE連携と科学的介護推進体制加算:記録自動化が加算算定を助ける仕組み
LIFE(科学的介護情報システム)は、厚生労働省が運用する介護事業所のケアデータを集約・フィードバックするシステムです。データ提出は「科学的介護推進体制加算」など複数の加算の算定要件になっており、記録AI選定時に次の3点を確認します。
- 記録AIまたは介護ソフトがLIFE提出形式に対応しているか
- LIFE項目(ADL・認知症・栄養・口腔・褥瘡等)の入力支援があるか
- データ抽出・修正・送信の運用負担を誰が担うか
LIFE対応を後付けで設計するより、最初から対応した記録運用を組むほうが、加算算定と業務負担の両面で有利になります。記録自動化とLIFE連携を一体化して設計できる点は、専用システムを選ぶ大きな理由のひとつです。
9. 個人情報保護とセキュリティ:法令根拠と確認チェックリスト
この節の要点 介護記録AIの導入では個人情報保護法第25条(利用目的の特定)と第28条(安全管理措置)、医療情報システム安全管理ガイドライン第6.0版、介護保険法第23条が根拠となります。要配慮個人情報に当たる利用者情報の保存場所・アクセス権限・委託先管理・ログ保存を導入前に確認し、AIが作成した記録は職員が最終確認する運用を徹底します。
医療・介護関係の情報は個人情報保護法上の要配慮個人情報に該当し得ます。導入にあたっては、法律名だけでなく条文番号・通知番号まで押さえることで、監査対応と利用者説明の追跡性が確保できます。
根拠となる法令・ガイドライン
| 法令・ガイドライン | 条文・版 | 確認すべき要点 |
|---|---|---|
| 個人情報保護法 | 第25条(利用目的の特定)・第28条(安全管理措置) | 利用目的の特定・本人同意・安全管理措置・委託先管理 |
| 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン | 第6.0版(厚労省) | アクセス制御・認証・ログ・バックアップ・サイバーセキュリティ |
| 介護保険法 | 第23条(帳簿書類の整備・保存) | 記録の保存義務・AI生成記録の法定様式適合 |
| 医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス | 個人情報保護委員会・厚労省 | 利用目的・本人同意・安全管理措置・委託先管理 |
導入前確認チェックリスト
- 個人情報の保存場所(国内/国外クラウド・端末保存)とバックアップ方針
- アクセス権限・認証・「誰がいつ何を記録・修正したか」のログ保存
- AI事業者・クラウド事業者との契約内容と再委託の有無
- AIが作成・補助した記録を職員が確認する運用になっているか
- システム停止時に記録をどう残すかの障害時対応
- LIFE提出データの出力形式・修正フロー
10. よくある失敗5パターン
介護記録AIの成否はツールの機能だけで決まりません。現場で使われる運用に落とし込めるかが重要です。
- 目的が曖昧なまま製品を選ぶ:「何時間削減したいか」「どの転記をなくすか」を数値で決めずに導入し、効果が見えない
- 既存ソフトとの転記が残る:連携設計を確認せず、結果として二重入力が残る
- 職員教育が不足する:操作習熟の段階設計なく全員一斉導入し、定着しない
- 記録確認の運用が決まっていない:AI出力の最終確認者・修正フローが不明確で、事故時の証拠能力を欠く
- 最初から全施設へ横展開する:先行施設で様式・教育・個人情報管理を検証せず、失敗が全体に波及する
11. まとめ+FAQ
まとめ
- 介護記録AIは音声・自然言語処理で記録を自動生成。記録時間を最大70%削減する事例あり。
- 2026年現在、記録NAVI・ながらかいご・タップカルテ・むすぼなAI・ケア記録アシストなどが実用化。
- 自動化は音声入力・文例選択・センサー連携・自動連動の4技術。施設の課題から選ぶ。
- **DX(全体变革)・ICT(見守り)・AI(記録自動化)・ソフト(業務管理)**は役割が違う。目的から選ぶ。
- 導入は「現状把握→選定→セキュリティ確認→パイロット→全展開」のロードマップで。LIFE連携・加算算定も初期設計に組み込む。
- AI出力は必ず職員が事実確認と署名を行う。個人情報取扱いは個人情報保護法第25条・第28条が根拠。
FAQ(よくある質問)
Q1. AIで作成した記録は監査で問題になりませんか? 2026年現在、AIツールの使用自体を禁止する法的規定はありません。ただし、生成内容の最終確認と職員の署名は必須です(介護保険法第23条)。事実と異なる記録が残らないよう、検証プロセスを運用に組み込みましょう。
Q2. 音声入力だけで介護記録は完成しますか? 完全自動で完成する前提にしないほうが安全です。音声入力は記録作成を助けますが、利用者の状態変化・介助内容・申し送り事項は職員が確認・修正する運用が必要です。騒音・専門用語・誤認識時の修正フローを事前に確認します。
Q3. どのくらいの費用がかかりますか? 文例選択型の記録NAVIは端末1台月額1,100円(税込)・初期費用0円で始められます。音声AI型や記録ソフト一体型は入居者数・スタッフ数ベースのSaaS課金が多く、令和8年度介護テクノロジー導入支援事業(最大75%補助)で初期コストを抑えられます。ChatGPT等の汎用AIは無料〜数千円/月です。
Q4. 汎用LLM(ChatGPT等)と介護記録特化型AIの違いは何ですか? 汎用LLMはプロンプトで記録文を生成する汎用用途、特化型AIは介護記録の様式・専門用語・既存介護ソフト連携に最適化されている点が違います。匿名化した試行や一部業務なら汎用LLMでも対応でき、事業所全体の本格運用・LIFE連携・法定様式適合を重視する場合は特化型システムが選択肢になります。
Q5. 個人情報は安全ですか? ツールにより異なります。学習データに利用されない設定があるか、個人情報保護法第25条・第28条、医療情報システム安全管理ガイドライン第6.0版に適合しているかを契約前に確認してください。利用者を特定できない形で入力する運用も有効です。
Q6. 介護ソフト(請求システム)との連携はできますか? 一部の専用ツール(ワイズマン等)は既存介護ソフトと追加導入なしで連携できます。それ以外はAPI連携やデータ移行に対応しているか導入前に確認してください。
参考文献・出典
- 厚生労働省老健局「介護記録の適切な作成・保存について」(老企第27号)
- 厚生労働省「介護分野における生産性向上に資るケア・ICTガイドブック」
- デジタル庁「介護現場のDX推進に向けた検討会」報告書
- リクルートワークス研究所 介護記録AI関連調査・インタビュー
- 介護記録AI各社公開情報(記録NAVI・ながらかいご・CareViewer・ハナスト・ワイズマン・タップカルテ・むすぼなAI・ケア記録アシスト)