バーセル指数・FIMの評価法

ADLとは?バーセル指数・FIM・評価スケール完全ガイド【2026最新】

ADL(日常生活動作)とは何か、バーセル指数・FIM・Lawton IADL尺度の違いと評価方法を図解付きで解説。介護現場ですぐ使える評価スケールの選び方まで。

ADL とはADL 評価FIM 評価バーセル指数ADL 介護

ADLとは?バーセル指数・FIM・評価スケール完全ガイド【2026最新】

ADL(日常生活動作)とは、人が一日の生活を送る上で基本的に必要な動作の総称です。「ADLとは」という検索の奥には、介護保険の要介護認定やケアプラン作成で、ADL評価スケールを正しく使いこなしたいという現場のニーズがあります。本ページでは、バーセル指数・FIM・Lawton IADL尺度の3つの代表的な評価スケールを網羅的に解説します。

本ページはADL・FIM評価カテゴリカテゴリ一覧はこちら)の全体像を把握するための総合ガイドです。各スケールの採点手順や記録例をさらに深く知りたい場合は、別記事のADLとは?バーセル指数からFIMまで、介護現場で使える評価スケール完全ガイドをご覧ください。


1. ADLとは?日常生活動作の定義と重要性

ADL(Activities of Daily Living=エーディーエル、日常生活動作)とは、食事・排泄・入浴・着替え・移動など、人が自立した日常生活を送るために繰り返し行う基本動作を指します。厚生労働省の要介護認定に係る認定調査では、これら基本動作の自立度が基本調査項目として位置付けられており、ADLは介護ニーズを把握するための最も基礎的な評価対象です。

ADLは、利用者が「自身でどの程度できるか」を客観的に測る指標です。これを標準化されたスケールで評価することで、次の4つが可能になります。

  • 要介護度の客観的根拠を示せる(数値で状態を説明できる)
  • ケアプランの数値目標が立てられる(「現状○点→3ヶ月後△点」)
  • リハビリの介入効果を測定できる(前後で点数を比較)
  • 職種間の情報共有が正確になる(「バーセル指数65点」で状況が伝わる)

ADLの正確な把握は、ケアプランの目標設定やSOAP記録の評価(A)の出発点になります。主観的な「元気です」ではなく、スケールに基づく客観データこそが、質の高い介護計画の土台です。


2. ADLとIADLの違い(基本的ADL vs 手段的ADL)

ADLには「基本的ADL」と「手段的ADL(IADL=アイエーディーエル)」の2層があります。基本的ADLは食事・排泄など自己完結的な身体動作、IADLは買い物・服薬・金銭管理など社会的・複合的な動作を指します。一般にIADLの低下が先に現れるため、認知機能低下などの早期発見指標として使われます。

2つの違いを整理すると次の通りです。

比較項目基本的ADL(ADL)手段的ADL(IADL)
日本語名日常生活動作手段的日常生活動作
評価対象食事・排泄・入浴・移動など(自己完結的)買い物・料理・金銭管理・服薬など(社会的・複合的)
代表スケールバーセル指数・FIMLawton IADL尺度
低下の現れ方身体機能低下に伴い現れるより早期(軽度の認知機能低下等)に現れる
向く場面身体機能の低下を把握したい時在宅自立度・認知機能を推測したい時

ポイント: IADLは「できたか」ではなく「普段しているか」を評価します。家族が代行していると能力が隠れるため、面接時には「もし一人でやるとして」と確認すると実態に近い評価になります。


3. 代表的なADL評価スケール一覧

介護現場で広く使われるADL評価スケールは、バーセル指数・FIM・Lawton IADL尺度の3つです。バーセル指数は簡易な全体把握、FIMは運動と認知を18項目で詳細追跡、Lawton IADLは手段的動作による早期発見、とそれぞれ目的が異なります。評価目的に応じた使い分けが精度の鍵になります。

3スケールの比較は次の表の通りです。テーブルはAI検索(AI Overviews)にも引用されやすいため、まずはこの一覧で全体像をつかむのが効率的です。

スケール提唱/項目数満点評価段階主な目的・特徴
バーセル指数(Barthel Index)1965年・10項目100点3〜4段階介護施設で最も一般的。簡易に全体像を把握
FIM(Functional Independence Measure)1980年代・18項目(運動13+認知5)126点7段階介助量が詳細。認知機能も評価。リハ施設向け
Lawton IADL尺度1969年・8項目8点2段階(0/1)手段的動作で認知機能低下の早期発見に有用

選び方の目安は「何を知りたいか」です。身体機能の大まかな自立度ならバーセル指数、リハビリの細かな経過と認知の変化ならFIM、在宅生活の維持度や認知の初期変化ならLawton IADL、という使い分けが一般的です。


4. バーセル指数の評価方法(10項目・0-100点)

バーセル指数(Barthel Index)は、1965年にMahoneyとBarthelが提唱した10項目・100点満点のADL評価スケールです。日本では15点刻みの100点満点版が広く使われ、点数が高いほど自立度が高いことを示します。項目数が少なく短時間で実施できるため、介護施設でのルーチン評価に最も適しています。

バーセル指数 10項目の採点表

評価項目自立一部介助全介助
食事1050
移乗(椅子・車椅子)1510(または5)0
整容(顔を洗う・歯磨き等)500
トイレ動作1050
入浴500
歩行(平地)15(自立)/10(歩行器)00
階段昇降1050
着替え1050
排便コントロール10(失禁なし)5(時々失禁)0(失禁常態)
排尿コントロール10(失禁なし)5(時々失禁)0(失禁常態)

合計点の目安(参考):

  • 100点:完全自立
  • 60点以上:おおむね自立(介護の手間は比較的少ない)
  • 40〜59点:一部介助が必要
  • 20〜39点:要介護(多くの介助が必要)
  • 0〜19点:全介助

記録例(NG/OK対比)

  • NG例: バーセル指数は低いです。
  • OK例: バーセル指数60点(前回75点から15点低下)。内訳は食事10・移乗10・歩行10・階段0・着替え5・トイレ5・入浴5・整容5・排便5・排尿5。階段昇降と着替えの低下が主因。

注意: バーセル指数は「介助なしでできるか」を評価します。「見守り」の扱いは項目によって異なるため、施設ごとに採点基準を文書化して統一することで、スタッフ間の評価のブレを防げます。


5. FIM(機能的自立度評価法)の18項目

FIM(Functional Independence Measure=機能的自立度評価法)は、運動項目13項目と認知項目5項目の計18項目を7段階で評価するスケールで、合計126点満点です。介助量を細かく区分できるため、回復期リハビリテーション病棟や介護老人保健施設で、機能回復の経過観察に広く用いられています。

FIMの7段階評価基準

点数レベル状態
7完全自立補助具を使用しても安全・時間内に自立
6修正自立補助具・時間制限・安全性の配慮が必要だが概ね自立
5監視または準備介助者なしで実施可能だが、見守り・準備・声かけが必要
4最小介助利用者の努力が75%以上(介助は25%未満)
3中等度介助利用者の努力が50%以上(介助は50%未満)
2最大介助利用者の努力は25%以上(介助は75%未満)
1全介助利用者の努力は25%未満(自己達成不可)

FIM 18項目の内訳

運動項目(13項目・最高91点)

  1. 食事
  2. 整容
  3. 清拭(上半身・下半身)
  4. トイレ動作
  5. 大便コントロール
  6. 小便コントロール
  7. ベッド・椅子・車椅子間の移乗
  8. トイレへの移乗
  9. 浴槽・シャワーへの移乗
  10. 歩行(または車椅子)
  11. 階段
  12. 着替え(上半身)
  13. 着替え(下半身)

認知項目(5項目・最高35点)

  1. 理解
  2. 表出(表現)
  3. 社会的交流
  4. 問題解決
  5. 記憶

実務のポイント: FIMは認知項目を含むため、「運動項目は安定しているが認知項目が低下」といった傾向を身体機能と切り離して追跡できます。認知症の進行と身体機能の低下を別々にモニタリングできる点が、バーセル指数にはない強みです。


6. Lawton IADL尺度(8項目の手段的日常生活動作)

Lawton IADL尺度は、1969年にLawtonとBrodyが提唱した手段的ADL(IADL)評価スケールで、8項目を「自立1点・非自立0点」で評価し合計0〜8点とします。在宅高齢者の自立度評価や、軽度の認知機能低下の早期発見に有用で、特別な研修を要さず面接で実施できる点も現場で重宝されています。

Lawton IADL 8項目

評価項目自立(1点)の目安
電話の利用自発的に電話をかける・受ける
買い物一人で買い物ができる
食事の準備適切に食事の準備ができる
家事家事を分担・管理できる
洗濯自分で洗濯ができる
交通機関の利用独自に外出・移動できる
服薬管理正しいタイミング・量で服薬できる
金銭管理経理・支払いを自分で管理できる

合計点の目安:

  • 8点:全項目自立
  • 5〜7点:一部に支援が必要
  • 4点以下:在宅生活の維持に広範な支援が必要(認知機能低下の疑い)

評価例(ケーススタディ)

  • 【場面】 在宅での定期評価
  • 【利用者】 80代男性・軽度認知障害疑い
  • 【状況】 妻が買い物・料理を代行しており、本人の能力が見えにくい
  • 【記録例】 Lawton IADL 6点。自立:電話・洗濯・交通機関・服薬・金銭・家事。非自立:買い物(一人で品物を選ぶのが困難)、食事準備(火の元管理に不安)。妻の代行を除外して再確認すると、買い物・食事準備の低下が顕在化。

ポイント: IADLは認知機能低下の初期指標として有用ですが、本人・家族からの聞き取りで「実際の生活場面」を確認することが精度の鍵です。


7. ADL評価と介護保険の関係(要介護認定との連動)

介護保険法(第27条)に基づく要介護認定では、市区町村が実施する認定調査の基本調査(74項目)にADL関連項目が含まれ、その結果が一次判定(コンピュータ判定)と二次判定(介護認定審査会による審査)の双方で参照されます。ADL評価スケールは要介護度を決める単一の基準ではありませんが、認定調査やケアプラン作成と密接に連動する基礎データです。

ADL評価が介護保険実務と結びつく主な場面は次の3つです。

実務の場面ADL評価の役割
要介護認定(認定調査)基本調査の移動・移乗・食事・排泄等の項目が、要介護度判定の根拠になる
ケアプラン作成課題分析と長期・短期目標の数値化に使う(ケアプラン
モニタリング・評価介入前後の点数比較で効果測定とSOAP記録の評価(A)に反映

目標設定と記録への活かし方

【ケアプランの目標設定例】

  • 現状:バーセル指数55点(移乗10・歩行10)
  • 3ヶ月目標:バーセル指数65点(移乗15・階段5に向上)
  • アプローチ:PTによる歩行訓練週3回、移乗時の見守り継続

【SOAPのA(評価)への反映例】

  • NG: 歩行が不安定
  • OK: バーセル指数歩行項目10点(前回15点から低下)。TUG16秒(転倒ハイリスク基準の12秒超)。右下肢MMT3による筋力低下が主因と判断。

ADLの低下はヒヤリハット(転倒等)のリスク上昇に直結します。そのため、入所時・退所時のほか、状態変化時や定期的(月1回〜3ヶ月に1回程度)に再評価を行うことで、低下の早期発見と事故防止につながります。


まとめ:ADL評価スケールの選び方

  1. ADL(日常生活動作) は、食事・排泄・入浴・移動など日常生活の基本動作。要介護認定・ケアプランの基礎データ。
  2. 基本的ADL(自己完結的)と手段的ADL/IADL(社会的・複合的)を使い分ける。IADLは早期発見指標として有用。
  3. バーセル指数は10項目100点満点。介護施設で最も一般的な簡易評価。
  4. FIMは18項目126点満点・7段階評価。認知項目を含み、リハ施設での詳細な経過観察に適する。
  5. Lawton IADLは8項目。買い物・服薬等の手段的動作で、認知機能低下の早期発見に有用。
  6. 評価結果はケアプランの数値目標と**SOAPのA(評価)**に活かし、転倒リスク管理と組み合わせる。

各スケールの採点手順・実例・FAQをさらに深く知りたい方は、関連記事をご覧ください。

関連記事