ケアプラン2026.06.26

施設ケアプラン文例100選【第1表・第2表・場面別】特養・老健・介護医療院対応

施設サービス計画書(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院)の文例100選を第1表・第2表・場面別に整理。入所後の環境適応、他職種連携、BPSD、看取りまで施設特有のシーンを網羅。監査指摘対策のNG/OK対比例も収録した施設ケアマネ必携の実践集です。

15分で読める2026.06.26CareShift Media 編集部
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施設ケアプラン文例100選【第1表・第2表・場面別】特養・老健・介護医療院対応

施設のケアマネージャーが入所者のケアプランを記入している様子

施設サービス計画書(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院)の文例100選を、第1表(課題分析・援助方針)・第2表(長期目標・短期目標)・場面別マトリクスの3軸で整理しました。入所後の環境適応、他職種連携、BPSD、看取りまで、施設ケアマネだけが直面するシーンを網羅しています。監査で指摘されやすい表現のNG/OK対比例も収録。

本記事は、ケアプラン文例の総合版(居宅・施設両方を扱う基本ガイド)の**施設特化版(spoke)**として位置づけています。居宅ケアプランの文例や基本構成・AI活用については、まず「ケアプラン文例200選」総合ガイドをご参照ください。


1. 施設ケアプランの基礎:居宅との5つの違い

施設入所者の日常生活の様子(食堂での集団場面)

施設サービス計画書(以下、施設ケアプラン)は、介護保険法第30条に基づき、介護保険施設(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院)の介護支援専門員が作成する計画書です。居宅サービス計画書(居宅ケアプラン)と様式は共通の第1表・第2表を使いますが、記載の中身は大きく異なります。

居宅ケアプランとの主な違いは5つあります。

違い居宅ケアプラン施設ケアプラン
作成者居宅介護支援事業所のケアマネ施設の介護支援専門員(施設ケアマネ)
サービス提供場所在宅(訪問・通所・短期入所等の組み合わせ)施設内(24時間の入所生活)
目標期間月単位の更新が主流3〜6ヶ月の中長期目標が中心
連携職種外部サービス事業所との調整施設内の医師・看護師・介護士・機能訓練士・栄養士・相談員
介護予算介護予防支援(地域包括支援センター)と併存施設サービス費が一括で計上

施設ケアマネが最も意識すべきは**「入所という生活の場そのものがサービス」**という点です。居宅のような「週2回の通所」「月2回の訪問」といった枠組みではなく、入所者の日常生活全般を24時間体制で支える計画を描く必要があります。

以下、施設ケアプランで実際に使える文例を場面別に100例掲載します。


2. 第1表 課題分析・援助方針の文例(施設特有12領域・25例)

第1表では、入所者の状態像(アセスメント)と総合的な援助方針を記載します。施設では居宅にはない12の特有領域(入所後環境適応・他職種連携・家族面会・退所後支援など)があり、ここを丁寧に書くことが監査対応の鍵になります。

入所後の環境適応(5例)

  1. 入所直後の不安:入所後3ヶ月間は環境変化による不安・不眠が顕著であり、夜間の徘徊や他入所者への干渉がみられる。見守りと声かけにより入所生活への適応を支援する。
  2. 生活リズムの再構築:入所前は昼夜逆転傾向にあったが、施設の集団生活の中で規則正しい生活リズムへの移行を図る。日中の活動(レクリエーション・機能訓練)への参加を促す。
  3. 持ち物・身の回りの整理:入所に伴い私物の管理が困難となっている。鍵付きロッカーの活用と定期的な整理により、入所者の尊厳を守りつつ安全な保管を支援する。
  4. 入所者間の人間関係:相部屋での生活において他入所者との意思疎通に難があり、疎外感を抱きやすい。多職種で見守り、共通の話題(季節の話・食事等)を通じて関係構築を支援する。
  5. 入所理由への受容:家族からの入所勧めに抵抗感が残り、「早く家に帰りたい」と頻回に訴える。相談員と連携し、入所の経緯と現在の生活の意義を繰り返し説明し、受容を支援する。

他職種連携(5例)

  1. 医師・看護師との連携(慢性疾患管理):高血圧・糖尿病の合併があり、医師の処方に基づく内服管理と定期的なバイタル測定(血圧・血糖値)を看護師が実施。異常値時は速やかに医師へ報告する体制を敷く。
  2. 機能訓練士との連携(廃用症候群予防):歩行能力の低下がみられ、機能訓訓練指導員による個別訓練(週2回・30分)を実施。日常生活場面での見守り範囲と訓練目標をすり合わせ、一貫した支援を図る。
  3. 栄養士との連携(嚥下機能低下):嚥下機能の低下により誤嚥リスクが高く、栄養士と協働で嚥下調整食(ゼリー状・トロミ調整)を提供。食事中の介助方法(姿勢・一口量・ペース)を多職種で共有する。
  4. 相談員との連携(家族支援):遠方に住む家族との面会頻度が減少し、入所者の孤独感が増している。相談員が月1回の家族面談を調整し、入所者の様子を写真付きで伝える仕組みを整える。
  5. 介護士との連携(BPSD対応):夕暮れ時の焦燥感(夕暮症候群)が強く、徘徊・興奮がみられる。介護士と連携し、夕方の環境調整(照明・音量)と個別の気晴らし活動を組み合わせた対応を統一する。

家族面会・面談(3例)

  1. 遠隔家族との面会調整:家族が遠方(県外)に在住し月1回の面会が限度。ビデオ通話を月2回導入し、入所者の顔色や表情を家族が直接確認できる機会を確保する。
  2. 家族の罪悪感への配慮:入所決定に対する家族の罪悪感が強く、「見捨てた」と繰り返し訴える。相談員と連携し、入所の意義と在宅介護の限界を客観的に説明し、家族の精神的負担を軽減する。
  3. 家族間の意見相違:身元保証や治療方針について、複数の家族間で意見が対立している。家族会議を定期的に開催し、施設長・相談員・医師が同席して調整を図る。

退所後支援・看取り(3例)

  1. 在宅復帰へ向けた準備:機能訓練の成果により歩行能力が改善し、在宅復帰の可能性が見えてきた。退所後のサービス(訪問介護・デイサービス)の調整を居宅ケアマネと連携して進める。
  2. 転所支援:医療状態の変化により、特養から老健への転所が必要となった。転所先の施設ケアマネにアセスメント情報と支援経過を引き継ぎ、環境変化の負担を最小化する。
  3. 看取りの準備:終末期に入り、本人の事前意思(ACP)に基づく看取りを家族と合意済み。苦痛のない終末期ケア(疼痛管理・口腔ケア・皮膚障害予防)を多職種で実施し、家族への精神的支援を継続する。

施設生活の安全・尊厳(4例)

  1. 転倒予防(環境調整):夜間のトイレでの転倒歴があり、ベッドからの離床時の危険性が高い。センサーマットの設置と居室照明の調整、夜間職員の巡回頻度の見直しにより転倒リスクを低減する。
  2. 誤嚥予防(食事場面):嚥下機能低下に伴う誤嚥性肺炎のリスクが高い。食事中は介護士が1対1で付き添い、姿勢保持・一口量の調整・休憩の挟み方を統一した手順で実施する。
  3. 皮膚障害予防(褥瘡):長時間の車椅子座位による褥瘡リスクが高い。2時間ごとの体位変換と、エアマット・クッションの活用により圧分散を図り、皮膚状態を毎日観察する。
  4. 尊厳の保持(排泄):オムツ使用に対する羞恥心が強く、トイレでの排泄を強く希望。可能な範囲でポータブルトイレを活用し、成功体験を積み重ねることで尊厳を守る支援を継続する。

医療的ケア・終末期(5例)

  1. 経管栄養の管理:胃瘻からの経管栄養を実施中。看護師が注入管理を担い、栄養士が栄養量を調整。誤注入防止のための手順遵守と、注入中の体位管理を多職種で徹底する。
  2. たんの吸引(喀痰排出):気管切開により自力での喀痰排出が困難。看護師が定期的に吸引を実施し、口腔ケアを毎食後実施することで誤嚥性肺炎を予防する。
  3. 疼痛管理(終末期):悪性腫瘍の進行に伴う疼痛が増強。医師の指示に基づく鎮痛薬の投与と、看護師による疼痛スケールでの定期的な評価により、QOLを維持する。
  4. ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の反映:事前のACPで「延命治療は希望しない」旨が確認済み。家族と合意のうえ、積極的な治療より緩和ケアを優先する方針を第1表に明記する。
  5. 死後の家族ケア(グリーフケア):看取り後の家族の喪失感への配慮。相談員が定期的に連絡を取り、葬儀後1ヶ月・3ヶ月・半年の時点で面談を実施し、グリーフケアを継続する。

3. 第2表 長期目標・短期目標の文例(施設ADL×要介護度・30例)

施設の機能訓練室でリハビリを行う入所者と機能訓練指導員

第2表では、長期目標(3〜6ヶ月程度)と短期目標(1ヶ月程度)をセットで記載します。施設では施設ADL(入浴・排泄・食事・移動・更衣)を軸に、要介護度別に目標を細分化するのが実践的です。

入浴・清潔保持(5例)

  1. 〔要介護3〕長期目標:週2回の施設入浴を介助付きで安全に完了できる。 短期目標:入浴時の移動(車椅子→入浴台)が2名介助で安全に実施できる。
  2. 〔要介護4〕長期目標:清拭(せいしき)を週2回実施し、皮膚の清潔と完整性を維持できる。 短期目標:清拭中の血圧変動が±10mmHg以内に安定する。
  3. 〔要介護5〕長期目標:床上清拭と部分浴(手足)を組み合わせ、快適性と皮膚障害予防を両立できる。 短期目標:褥瘡好発部位(仙骨・踵)の発赤がみられない状態を維持する。
  4. 〔要介護2〕長期目標:特殊性浴槽(機械浴)を週2回利用し、入浴への意欲とリラックス効果を得られる。 短期目標:入浴前後の不安訴えが減少し、自ら入浴を楽しみにする様子がみられる。
  5. 〔要介護3・認知症〕長期目標:入浴拒否への個別アプローチにより、月2回以上の入浴を実施できる。 短期目標:入浴前の声かけ方法(時間帯・順序)を固定化し、受容的になる。

排泄(5例)

  1. 〔要介護2〕長期目標:昼間はポータブルトイレでの排泄を自立して行える。 短期目標:トイレまでの移動(杖使用)が介助なしで安全に実施できる。
  2. 〔要介護3〕長期目標:排泄の周期(朝・食後)を把握し、定時のトイレ誘導で失禁を週2回以下に減らせる。 短期目標:朝のトイレ誘導で自立排泄が週4回以上継続する。
  3. 〔要介護4〕長期目標:オムツ使用時も本人の意思で排泄のタイミングを知らせられる。 短期目標:排泄のサイン(不穏・立ち上がり)を職員が察知し、速やかに対応する。
  4. 〔要介護5〕長期目標:オムツ交換時の快適性を維持し、皮膚トラブル(おむつかぶれ)を予防できる。 短期目標:皮膚が清潔・乾燥した状態を毎日維持する。
  5. 〔要介護3・前立腺肥大〕長期目標:夜間の頻尿による睡眠障害を軽減し、夜間の安眠を確保できる。 短期目標:夕食後の水分摂取量を調整し、夜間のトイレ回数を3回以下にする。

食事(6例)

  1. 〔要介護2〕長期目標:一般食を自助具(滑り止めマット・柄の太いスプーン)を使用して自立して摂取できる。 短期目標:1食の所要時間を30分以内で完食できる。
  2. 〔要介護3〕長期目標:嚥下調整食(刻み食)を介助付きで安全に摂取し、誤嚥を予防できる。 短期目標:一口量(小さじ1杯程度)と食事ペースを守り、むせ込みが減少する。
  3. 〔要介護4〕長期目標:経管栄養(胃瘻)と経口摂取を併用し、必要栄養量を確保できる。 短期目標:経口摂取(とろみ付き液体)を1日1回むせ込みなく摂取できる。
  4. 〔要介護5〕長期目標:経管栄養により必要栄養量を安定的に確保し、体重を維持できる。 短期目標:1日の投与量(1,200kcal)を規定時間内に誤注入なく実施する。
  5. 〔要介護3・認知症〕長期目標:食事への意欲を高め、1食の摂取量を70%以上維持できる。 短期目標:本人の好みのメニュー(和食)を週3回提供し、完食率を向上させる。
  6. 〔要介護2・糖尿病〕長期目標:糖尿病食を遵守し、HbA1cを7.0%以下に維持できる。 短期目標:間食(おやつ)を管理し、食後の血糖スパイクを予防する。

移動・起移動(5例)

  1. 〔要介護2〕長期目標:杖を使って施設内を自立歩行し、集団活動に参加できる。 短期目標:廊下の直線歩行(50m)を休憩なしで実施できる。
  2. 〔要介護3〕長期目標:車椅子を自分で操作し、居室から食堂への移動を自立できる。 短期目標:車椅子のブレーキ操作を確実に行い、安全に停止できる。
  3. 〔要介護4〕長期目標:車椅子への乗り降りを1名介助で安全に実施できる。 短期目標:立ち上がり時のふらつきなく、体重を支えられる。
  4. 〔要介護5・ベッド上〕長期目標:ベッド上での体位変換を2時間ごとに実施し、関節拘縮を予防できる。 短期目標:他動的な関節可動域運動を毎日実施し、膝・股関節の硬直を防ぐ。
  5. 〔要介護3・転倒歴あり〕長期目標:転倒を1ヶ月間ゼロに抑え、安全な移動を継続できる。 短期目標:移動時の見守り(半介助)を徹底し、危険箇所(段差・濡れた床)を回避する。

更衣・整容(5例)

  1. 〔要介護2〕長期目標:日常着への着替えを自立して行える。 短期目標:上前の着脱を介助付きで実施し、所要時間を10分以内にする。
  2. 〔要介護3〕長期目標:ボタンのかけ外しを見守り程度の介助で実施できる。 短期目標:マジックテープ式の上衣を導入し、自立着替えを促す。
  3. 〔要介護4〕長期目標:着替えの際の意思表示(着たい服・順番)を自分で行える。 短期目標:朝の着替え時に2〜3着の選択肢を提示し、本人が選ぶ。
  4. 〔要介護5〕長期目標:全介助での更衣を尊厳を保ちながら実施できる。 短期目標:更衣中の声かけを丁寧に行い、不穏になるのを防ぐ。
  5. 〔要介護2〕長期目標:毎朝の洗顔・歯磨きを自立して行い、口腔の清潔を維持できる。 短期目標:電動歯ブラシを活用し、義歯の有無にかかわらず口腔ケアを習慣化する。

意思疎通・活動参加(4例)

  1. 〔要介護3・認知症〕長期目標:レクリエーション(月2回)に自ら参加し、他入所者と交流できる。 短期目標:なじみの職員からの声かけで活動に参加する回数を増やす。
  2. 〔要介護4・失語症〕長期目標:絵カードや身振りで基本的な要求(痛い・水・トイレ)を伝えられる。 短期目標:日常的に使う絵カード(10種)を活用し、職員と意思疎通する。
  3. 〔要介護2・難聴〕長期目標:補聴器を使用し、集団の場での会話を理解できる。 短期目標:補聴器を朝の着替え時に自分で装着する習慣を身につける。
  4. 〔要介護3〕長期目標:入所者の誕生日会・季節行事(月1回)に参加し、生活に潤いを持てる。 短期目標:行事の練習(歌・手品等)を週1回楽しみ、当日の参加意欲を高める。

4. 場面×介助レベル別 文例マトリクス(30例)

ここでは施設ケアプランで頻出する4つの特有シーン(入所時・家族面会・BPSD・看取り)を、介助レベル(自立・見守り・一部介助・全介助)別に展開します。

シーンA:入所時の適応支援(8例)

  1. **〔自立〕**入所初日は施設内見学を行い、居室・食堂・トイレ・浴室の位置を自分で確認できる。
  2. **〔見守り〕**入所1週間はなじみの職員が担当を固定し、不安訴えに個別対応する。
  3. **〔一部介助〕**入所後1ヶ月は相談員が週1回の面談を実施し、入所の受容を支援する。
  4. **〔全介助〕**入所時の混乱が強く、夜間の不穏・徘徊が顕著。常時見守りと環境調整で安全を確保する。
  5. **〔自立〕**入所時の持ち物リストを本人・家族と一緒に作成し、紛失を防ぐ。
  6. **〔見守り〕**入所2週目から食堂での定位置を固定し、集団への溶け込みを促す。
  7. **〔一部介助〕**入所後の健康状態(体重・血圧・睡眠)を毎日記録し、医師に週1回報告する。
  8. **〔全介助〕**入所時の感染症対策(PCR・抗原検査)を看護師が実施し、隔離期間中の支援を徹底する。

シーンB:家族面会・面談(7例)

  1. **〔自立〕**月1回の家族面会を相談員が調整し、入所者の様子を家族に直接伝える。
  2. **〔見守り〕**ビデオ通話(月2回)を導入し、遠方家族が入所者の表情を確認できる。
  3. **〔一部介助〕**家族会議(四半期1回)を施設長・相談員・医師同席で開催し、治療方針を合意形成する。
  4. **〔全介助〕**家族との面会時に感情が昂ぶり不穏になるため、面会後の個別支援を手厚くする。
  5. **〔自立〕**家族への月1回の写真付き便りを相談員が作成し、入所者の日常生活を伝える。
  6. **〔見守り〕**身元保証や退所後の暮らしについて、家族間で意見相違がある場合、相談員が調整を図る。
  7. **〔一部介助〕**家族の介護負担(罪悪感・疲労)に配慮し、月1回の家族ケア会議を開催する。

シーンC:BPSD(周辺症状)対応(8例)

  1. **〔自立〕**徘徊への対応として、安全な圈内散歩ルートを設定し、日中の活動量を増やす。
  2. **〔見守り〕**夕暮症候群(夕方の焦燥)に対し、照明の調整と個別の気晴らし(音楽・手品)を組み合わせる。
  3. **〔一部介助〕**攻撃性(他入所者への干渉・物を投げる)に対し、医師の評価と環境調整(個室への移行等)を検討する。
  4. **〔全介助〕**夜間の不穏・不眠に対し、常時見守りと睡眠導入剤(医師処方)の併用で安全を確保する。
  5. **〔自立〕**物盗られ妄想に対し、鍵付きロッカーを設置し、本人の安心感を高める。
  6. **〔見守り〕**同じ話を繰り返す(反復)に対し、話を否定せず受容的な聞き方を徹底する。
  7. **〔一部介助〕**食事を拒否する場合、好きなメニューの選択肢を広げ、摂取量を維持する。
  8. **〔全介助〕**失禁に対する羞恥心が強く、不穏になる場合、オムツ交換時の声かけを丁寧に行う。

シーンD:看取り・終末期(7例)

  1. **〔自立〕**ACP(事前意思)を文書化し、本人・家族の希望を第1表に明記する。
  2. **〔見守り〕**終末期の疼痛管理(疼痛スケールでの毎日評価)を看護師が実施する。
  3. **〔一部介助〕**口腔ケア(毎食後・1日3回)を丁寧に実施し、誤嚥性肺炎を予防する。
  4. **〔全介助〕**皮膚障害予防(2時間ごとの体位変換・エアマット使用)を徹底し、褥瘡を防ぐ。
  5. **〔自立〕**家族との最期の時間を確保するため、個室への移行と家族の付き添いを許可する。
  6. **〔見守り〕**死後のグリーフケアを相談員が実施し、葬儀後1・3・6ヶ月で面談を行う。
  7. **〔一部介助〕**終末期の精神的支援(宗教的配慮・趣味の継続)を個別に計画する。

5. 施設タイプ別(特養・老健・介護医療院)記載の違い(8例)

施設の多職種連携の様子(医師・看護師・ケアマネ・相談員のカンファレンス)

3つの介護保険施設は、入所者の状態像と施設の役割が異なるため、ケアプランの書き方にも特徴が出ます。

特別養護老人ホーム(特養)— 長期入所・生活の場(3例)

  1. 長期入所の生活設計:特養は入所者の「終の棲家」となることが多く、長期目標を生活の質(QOL)の維持・向上に置く。年度ごとの目標見直しで、入所者の尊厳と自己決定を尊重する方針を明記する。
  2. 重度者の終末期対応:要介護4〜5の入所者が多く、看取りへの対応が必須。ACPの文書化と家族合意のうえ、緩和ケア優先の方針を第1表に記載する。
  3. 地域とのつながり維持:長期入所でも地域社会とのつながりを大切にする方針。月1回の外出(買い物・行事参加)を計画し、社会性の維持を図る。

介護老人保健施設(老健)— 在宅復帰・リハビリ中心(3例)

  1. 在宅復帰への明確な目標設定:老健の本来の役割は在宅復帰。長期目標を**「〇ヶ月後の在宅復帰」**と具体化し、退所後のサービス(訪問介護・デイサービス)の調整を居宅ケアマネと連携して進める方針を明記する。
  2. 集中的な機能訓練:機能訓練指導員による個別訓練(週3回・40分)を中心に計画。退所後の自立度向上を数値目標(FIM・Barthel Index)で追跡し、訓練効果を可視化する。
  3. 退所前の家庭訪問:退所1ヶ月前に家庭訪問を実施し、住宅改修・福祉用具の必要性を評価。在宅生活の安全性を事前確認する方針を記載する。

介護医療院 — 長期の医療的ケアが必要な方(2例)

  1. 医療的ケアと生活支援の統合:経管栄養・たんの吸引・人工呼吸など医療的ケアが日常的。医師・看護師が主導する医療計画と、介護士による生活支援計画を統合し、医療と生活の両立を図る方針を明記する。
  2. 看取りとACPの徹底:生命予後が限られた入所者が多く、看取りへの対応が中心的テーマ。ACPを全入所者で文書化し、延命治療の希望の有無・終末期の疼痛管理の方針を家族合意のうえ第1表に記載する。

介護医療院と老健の目標期間の違い:老健は3〜6ヶ月の在宅復帰を目指す短期集中型、介護医療院は長期的な医療ケア継続型。目標期間の設定方針を施設タイプに応じて使い分けましょう。


6. 監査指摘対策 NG/OK対比例(15例)

施設ケアプラン監査指摘対策のチェックリスト図解

施設監査(介護報酬の実地指導)で指摘されやすい記載を、NG例とOK例の対比で示します。これらを意識するだけで監査対応力は大幅に向上します。

第1表 総合的な援助方針(5例)

  1. 〔NG〕「見守りを行う」 〔OK〕「転倒リスクの高い場面(トイレ・浴室)で、介護士が1m圏内での見守りを常時実施する」
  2. 〔NG〕「家族と連携する」 〔OK〕「月1回の家族面会と月2回のビデオ通話を相談員が調整し、入所者の状態を家族に共有する」
  3. 〔NG〕「機能訓練を実施する」 〔OK〕「機能訓練指導員による個別訓練(週2回・30分)と、日常生活場面での見守りをすり合わせて一貫性を確保する」
  4. 〔NG〕「安心できる生活を支援する」 〔OK〕「入所後3ヶ月はなじみの職員を固定し、入所生活への適応を個別に支援する」
  5. 〔NG〕「適切な対応をする」 〔OK〕「BPSD(夕暮症候群)に対し、夕方の照明調整と個別の気晴らし活動を介護士が統一手順で実施する」

第2表 長期目標・短期目標(5例)

  1. 〔NG〕「歩行能力を向上させる」 〔OK〕「〔要介護3〕3ヶ月後に杖を使用して施設内を自立歩行(50m)できる」
  2. 〔NG〕「食事を自立する」 〔OK〕「〔要介護2〕1ヶ月後に自助具(滑り止めマット・柄の太いスプーン)を使用し、1食を30分以内で完食できる」
  3. 〔NG〕「排泄の自立を支援する」 〔OK〕「〔要介護3〕朝のトイレ誘導で自立排泄を週4回以上継続し、失禁を週2回以下に減らす」
  4. 〔NG〕「コミュニケーションを図る」 〔OK〕「〔要介護4・失語症〕1ヶ月後に絵カード10種類を使って基本的な要求(痛い・水・トイレ)を伝えられる」
  5. 〔NG〕「状態を維持する」 〔OK〕「〔要介護5〕2時間ごとの体位変換を毎日実施し、関節拘縮・褥瘡を予防して現状のADLを維持する」

目標期間・評価方法(4例)

  1. 〔NG〕「目標期間:適宜」 〔OK〕「長期目標:3ヶ月(〇月〇日)、短期目標:1ヶ月(〇月〇日)と明記」
  2. 〔NG〕「評価:総合的に判断」 〔OK〕「評価:月1回のモニタリングで、FIM・Barthel Indexを用いて数値化して評価」
  3. 〔NG〕「目標未達時の対応:検討する」 〔OK〕「短期目標未達時は、原因分析(環境・健康・意欲)を行い、次月の目標と支援方法を見直す」
  4. 〔NG〕「本人の希望:考慮する」 〔OK〕「本人の希望(帰宅したい・家族と会いたい)を第1表に明記し、可能な範囲で実現する支援を計画」

監査指摘を防ぐ3原則:①5W1H(誰が・いつ・どこで・何を・どのように・なぜ)で具体化、②数値目標を必ず入れる、③本人の希望を明文化する。これらを守るだけで記載の甘さは劇的に改善します。


7. まとめ・関連記事

施設ケアプランは、居宅にはない**「24時間入所生活」「他職種連携」「看取り」**という特性を踏まえた記載が求められます。本記事で紹介した100例を、入所者の状態像と施設の役割に合わせて組み合わせてご活用ください。

特に重要な3つのポイントを改めて整理します。

  • 第1表は施設特有の12領域(入所後環境適応・他職種連携・家族面会・退所後支援・看取り等)を丁寧に書く
  • 第2表は施設ADL×要介護度で長期・短期目標を細分化し、数値目標を必ず入れる
  • 監査指摘を防ぐには5W1H・数値目標・本人希望の明文化を徹底する

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よくある質問(FAQ)

Q1. 施設ケアプランの文例はそのままコピーして使ってもよいですか? 入所者の状態像に合わせて必ずアレンジしてください。文例は「たたき台」であり、そのまま使うと監査で「画一的な計画」と指摘されるリスクがあります。要介護度・合併症・家族状況などの個別事情を反映しましょう。

Q2. 施設サービス計画書と居宅サービス計画書の様式は同じですか? はい、第1表・第2表などの様式自体は共通です。ただし、記載の中身は施設特有の領域(入所後環境適応・他職種連携・看取り等)が中心となります。本記事で紹介した施設特有の文例を参考にしてください。

Q3. 老健と特養ではケアプランの書き方に違いはありますか? はい。老健は在宅復帰を明確な目標に置くため、長期目標を「〇ヶ月後の在宅復帰」と具体化し、集中的な機能訓練を計画します。一方、特養は長期入所が主流で、QOLの維持・向上や看取りへの対応が中心になります(本記事5章参照)。

Q4. 看取りのケアプランはどう書けばよいですか? まずACP(アドバンス・ケア・プランニング)を本人・家族と文書化し、延命治療の希望の有無を確認します。そのうえで、疼痛管理・口腔ケア・皮膚障害予防・家族のグリーフケアを計画に盛り込みます(本記事2章16例・4章79〜85例参照)。

Q5. 監査で指摘されやすいケアプランの記載は何ですか? 最も多いのは「目標が抽象的」「見守り・連携などが具体性に欠ける」という指摘です。5W1Hで具体化し、数値目標を入れ、本人の希望を明文化することで、これらの指摘は大幅に減らせます(本記事6章のNG/OK対比例を参照)。

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CareShift Media 編集部

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