加算・制度2026.06.29

処遇改善手当とは?【2026最新】令和8年度改定の金額・加算区分・もらえる条件を完全解説

処遇改善手当(介護職員等処遇改善加算)とは何か、2026年令和8年度改定で何が変わるかを厚労省通知根拠付きで解説。加算区分Ⅰ〜Ⅳ・イ/ロ、もらえる条件、月額平均1.8万円・最大1.9万円まで職員と事業所の両面から完全網羅。

15分で読める2026.06.29CareShift Media 編集部
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処遇改善手当とは?【2026最新】令和8年度改定の金額・加算区分・もらえる条件を完全解説

処遇改善手当とは?【2026最新】令和8年度改定の金額・加算区分・もらえる条件を完全解説

介護事業所の会議室で処遇改善計画書を確認する介護主任と職員の様子

処遇改善手当(正式名称:介護職員等処遇改善加算)は、介護職員の賃金引き上げを目的に国が設けた制度です。事業所が国から受け取る加算を原資に、職員へ手当として支給されます。本記事では、制度の全体像、2024年6月の加算一本化、令和8年度(2026年)6月改定で何が変わるか、加算区分と加算率、算定要件、職員がもらえる・もらえない理由を、厚生労働省の通知や介護保険法の条文根拠とともに解説します。職員の方にも事業所の方にも、両方の視点からお読みいただけます。

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1. 処遇改善手当(加算)とは?制度の全体像と目的

この記事の要点 処遇改善手当とは、介護職員の賃金引き上げを目的として、介護保険制度の報酬に上乗せして国が事業所へ支払う「介護職員等処遇改善加算」を原資に、事業所が職員へ支給する手当のことです。正式名称は「介護職員等処遇改善加算」と呼ばれ、2024年6月に従来の3つの加算が一本化され、令和8年度(2026年)6月改定で対象が介護職員から介護従事者全体へ拡大しました。事業所が加算を取得していることが前提で、全額を職員へ支給することが原則とされています。根拠は厚生労働省「介護職員の処遇改善」制度概要および令和8年3月13日付通知(老発0313第6号)です。

「処遇改善手当」と「処遇改善加算」は混同されやすいため、まず両者の関係を整理します。加算は国から事業所への支払いであり、手当は事業所から職員への支給です。職員の方が給与として受け取るのは後者の「手当」で、その原資が国の「加算」です。

介護保険法(平成9年12月17日法律第123号)に基づく介護報酬は、サービスの種類や事業所の体制に応じて算定されます。処遇改善加算は、事業所が所定の要件(キャリアアップ制度の構築や職場環境の改善など)を満たすことで、報酬に上乗せして受け取える仕組みです。算定根拠は、各サービスの介護報酬算定構造に関する告示(平成12年厚生省告示第19号・第20号・第21号等およびその後の改正)と、処遇改善加算の基本的考え方・事務処理手順を示す厚労省通知(令和8年3月13日付・老発0313第6号)に規定されています。受け取った加算は、介護に直接携わる職員の賃金改善に充てることが制度の目的です。

厚生労働省は「介護職員の処遇改善」の制度概要において、加算は「事業所内で柔軟に配分する」ものとしており、職員全員に均一に支給する必要はありません。ただし、受け取った加算の全額を職員の賃金改善に充てることが原則で、事業所が中抜きすることは認められていません。

制度の根拠となる通知として、令和8年度改定に係る「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年3月13日付・老発0313第6号)」が公表されており、最新の算定要件や加算率はこの通知で確認できます。


2. 処遇改善加算の変遷|2024年6月一本化と令和8年度2026年6月改定

この節の要点 処遇改善加算は、2024年6月の改定で従来の3つの加算(処遇改善加算Ⅰ〜Ⅲ・特定処遇改善加算・介護職員等ベースアップ等支援加算=通称ベアアップ加算)が「介護職員等処遇改善加算(Ⅰ〜Ⅳ)」へ一本化されました。さらに令和8年度(2026年)6月改定では、対象が「介護職員」から「介護従事者」全体へ拡大し、上位区分である「加算Ⅰロ・Ⅱロ」が新設されました。賃上げ目安は介護従事者全体で月額約1万円、上位区分を取得する事業所では更に月額7千円が上乗せされ、最大で月額1万9千円の引き上げが目標とされています。施行は令和8年6月以降の算定分からです。

処遇改善加算は、介護職員の処遇改善を目的として平成24年度の介護報酬改定で創設されました。その後、令和元年10月に特定処遇改善加算、令和4年10月にベースアップ等支援加算が創設され、複数の加算が並存して事務負担が大きくなっていたため、令和6年(2024年)6月に整理・一本化が行われました。

処遇改善加算の変遷を5つの節目で示すタイムライン図

2024年6月の一本化では、次の3つの加算が統合されました。

  • 処遇改善加算(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)
  • 特定処遇改善加算
  • 特別処遇改善加算(正式名称:介護職員等ベースアップ等支援加算・令和4年10月創設、通称ベアアップ加算)

これらが「介護職員等処遇改善加算(Ⅰ〜Ⅳ)」として一本化され、事業所の事務手続きが簡素化されました。一本化後は、処遇改善手当が給与明細から見えなくなった(名称が変わったり基本給に組み込まれたりした)という声も多く聞かれますが、制度そのものが廃止されたわけではありません。この点については第7節で詳しく解説します。

令和8年度(2026年)6月改定では、次の大きな変更が加えられました。

改定のポイント内容
対象の拡大「介護職員」から「介護従事者」全体へ対象を拡大
上位区分の新設生産性向上に取り組む事業所向けに「加算Ⅰロ・Ⅱロ」を新設
新規サービスの対象化訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅介護支援など、従来対象外だった領域も新たに算定可能に
改定率全体で+2.03%(うち処遇改善分+1.95%)

賃上げ目安は、令和8年度改定で介護従事者全体が月額約1万円(約3.3%)、生産性向上や協働化に取り組む上位区分(Ⅰロ・Ⅱロ)を取得する事業所では更に月額7千円が上乗せされ、最大で月額1万9千円の引き上げが目標とされています。新しい加算率は令和8年6月以降の算定分から適用される予定です。


3. 加算区分と加算率|Ⅰ〜Ⅳ・イ/ロの違いを比較

処遇改善加算は、事業所が取り組む内容に応じて区分が分かれており、区分ごとに加算率(サービス単価に対する上乗せ割合)が異なります。令和8年度改定後は、従来の「イ」区分に加え、上位区分の「ロ」区分が新設されました。

加算区分の全体像

加算区分は大きく「Ⅰ〜Ⅳ」の4段階があり、令和8年度からはⅠ・Ⅱにそれぞれ「イ」と「ロ」の2つのサブ区分が設けられました。「ロ」は生産性向上や協働化に取り組む事業所向けの上位区分です。事業所が取得する区分が上位(Ⅰ寄り・ロ)になるほど加算率が高くなります。

区分取得の目安加算率の傾向
加算Ⅰイ手厚い賃金改善・キャリアパス要件を満たす事業所高い
加算ⅠロⅠイに加え、生産性向上・協働化の取組を実施する事業所(上位区分)最も高い
加算Ⅱイ標準的な要件を満たす事業所中程度
加算ⅡロⅡイに加え、生産性向上・協働化の取組を実施する事業所(上位区分)やや高い
加算Ⅲ基本的な要件を満たす事業所標準より低い
加算Ⅳ体制整備が不十分な事業所(経過措置等)最も低い

「ロ」区分は、令和8年度改定で新設された上位区分で、生産性向上(業務効率化・ICT活用・協働化など)に取り組む事業所が対象です。加算率は「イ」区分より手厚く設定されており、上位区分への移行が推奨されています。

加算率の具体例(訪問介護の場合)

加算率はサービス種別ごとに異なり、「単位数/1000」の形で定められます。訪問介護を例にすると、令和8年度改定後の加算Ⅰロは287/1000などと示されており、区分が上位になるほど数値が大きくなります。参考までに、訪問介護における区分別の加算率の傾向を示します。

訪問介護の区分加算率の位置づけ(参考)
加算Ⅰロ最も高い(例:287/1000級・上位区分)
加算Ⅰイ・Ⅱロ高い
加算Ⅱイ中程度
加算Ⅲ・Ⅳ標準以下

なお、正確な加算率はサービス種別と区分の組み合わせで数百通りに及び、令和8年度改定で数値が更新されるため、自事業所の該当サービスについて厚労省の通知(老発0313第6号)や各サービスの算定構造で必ず確認することが大切です。上記は相対的な傾向の目安であり、特定サービスの正確な数値ではありません。

事業所がどの区分を取得できるかは、賃金改善の実績、キャリアアップ制度の整備、職場環境の取組、そして令和8年度からは生産性向上の取組内容によって決まります。上位区分を取得するほど加算率が高くなり、結果として職員へ支給できる手当額も大きくなります。


4. 算定要件|キャリアパス要件・職場環境要件・生産性向上要件

処遇改善加算を取得するには、事業所が所定の要件を満たす必要があります。令和8年度改定後は、大きく3つの要件が整理されています。

キャリアパス要件

職員のキャリアアップの道筋を制度として整備することが要件です。具体的には、資格取得の支援、役職や等級に応じた賃金体系の整備、研修計画の策定などが含まれます。かつて特定処遇改善加算の取得に必要とされた「年収440万円以上の職員が1人以上いること」といった要件は一本化後に整理されましたが、職員の資質向上と処遇改善の両輪で評価される点は変わりません。

職場環境要件

職場環境の改善に関する取組も求められます。例えば、ミーティングの整備、相談窓口の設置、勤務体制の見直し、育児・介護との両立支援などです。これらは職員の定着率の向上にも直結する要素です。

生産性向上要件(令和8年度改定で明確な評価軸に)

令和8年度改定の最大のポイントは、生産性向上が上位区分(Ⅰロ・Ⅱロ)取得の明確な評価軸になったことです。生産性向上の取組には、業務効率化、ICTの活用、複数事業所・法人での協働化などが含まれます。

生産性向上の代表例として、介護記録のAI化・ICT化が挙げられます。記録業務の負担削減は直接介護時間の確保につながり、生産性向上要件の達成手段として評価されやすくなります。AIやICTの導入事例については、介護AI導入事例19選介護記録AI完全ガイドで、実際の成果数値とともに解説しています。また、汎用的な生成AIを業務効率化に活用する方法は生成AI×介護活用まとめで参照できます。

介護施設で職員がタブレットを使って介護記録を入力する様子

協働化については、複数事業所や法人が連携して研修・採用・バックオフィス業務を共同化する取組が該当します。人材不足が深刻な介護業界では、単独ではなく協働で生産性を高める事業所が評価される方向へ制度が動いています。


5. 職員がもらえる金額|平均月額1.8万円・最大1.9万円の目安

この節の要点 処遇改善手当の平均的な支給額は、受け取っている介護職員で月額約1万8千円とする調査があります。加算区分別の目安は、加算Ⅰで月額約3万7千円、加算Ⅱで月額約2万7千円程度とされており、事業所が取得する区分によって職員の手取り額が変わります。令和8年度(2026年)6月改定では、介護従事者全体で月額約1万円、上位区分(Ⅰロ・Ⅱロ)を取得する事業所では更に月額7千円が上乗せされ、最大で月額1万9千円の引き上げが目標とされています。ただし支給形態は事業所ごとに異なり、月額手当のほか基本給への組み込みや一時金・賞与払いもあります。

処遇改善手当の金額は、事業所が取得している加算区分と、事業所ごとの配分ルールによって大きく変わります。そのため「一律これくらい」と断言できる数値ではなく、あくまで目安として捉える必要があります。

加算区分別の支給額の目安

  • 加算Ⅰを取得する事業所:職員あたり月額約3万〜4万円程度が配分の土台(目安)
  • 加算Ⅱを取得する事業所:月額約2万7千円程度が目安(目安)
  • 受け取っている職員の平均:月額約1万8千円(介護職員の処遇に関する民間調査による目安)

なお、これらの数値は民間のアンケート調査や報道をもとにした目安であり、事業所の取得区分・配分ルール・地域差によって大きく変わります。令和8年度改定の賃上げ目安(月額約1万円/上位区分で最大1万9千円)は、厚生労働省の改定方針に基づく目標値であり、全職員に一律に支給される額ではありません。

職員が全額を受け取るわけではなく、事業所内で柔軟に配分されるため、実際の手取りはこれらの目安より少なくなることもあります。これは制度上認められた配分方法であり、必ずしも不正ではありません。

令和8年度改定による金額の変化

令和8年度改定では、賃上げ目安が全体で月額約1万円(約3.3%)、上位区分では更に月額7千円が上乗せされ、最大で月額1万9千円の引き上げが目標とされています。ただしこれは「目標」であり、事業所が上位区分を取得し、賃金改善計画通りに実施した場合の目安です。

支給形態の違いに注意

事業所は処遇改善手当を次のような形態で支給できます。

  • 月額の手当として支給(従来型)
  • 基本給に組み込む(基本給の引き上げとして反映)
  • 一時金・賞与として支給(賞与払い)
  • 資格手当や役職手当など別の名称に統合

支給形態が違うと、給与明細での見え方が大きく変わります。この点については第7節で詳しく解説します。


6. 職員がもらえない3つの理由と確認手順

「処遇改善手当をもらっていない」「以前より減った」と感じる職員の方は少なくありません。制度上加算を受け取っている事業所は全額を職員へ支給することが原則ですが、もらえない・減った場合には次の3つの理由が考えられます。

理由1:事業所が加算を取得していない、または上位区分を取得できていない

加算は事業所ごとに申請・取得するものです。事業所が処遇改善加算を取得していない場合、職員は手当を受け取れません。また、2024年6月の一本化で上位区分の取得要件が厳格化され、従来の区分からランクダウンした事業所もあり、結果として支給額が減ったケースがあります。

理由2:資格要件を満たしていない

かつての特定処遇改善加算では、介護福祉士などの資格保有が必須でした。一本化後も、職員の資格や役職によって配分額が変わる事業所は多く、資格の有無で受け取れる額が異なることがあります。ただし、加算の一部は資格の有無に関わらず全職員を対象に配分できる区分もあります。

理由3:就業規則で減額・不支給のルールが定められている

事業所は処遇改善手当の支給方法を就業規則に明記することが義務付けられています。就業規則で「月1回の欠勤で減額」「試用期間中は不支給」などのルールが定められている場合、該当する職員は手当が減る・出ないことがあります。

確認の手順(HowTo)

介護職員が給与明細と就業規則を並べて確認する手元の様子

もらえない理由を確認する手順をまとめました。

  1. 就業規則を確認する:処遇改善手当の支給方法・減額ルールの有無を確認します。
  2. 事業所の取得区分を確認する:事業所が処遇改善加算のどの区分を取得しているか、総務や労務担当に尋ねます。
  3. 賃金台帳・支給実績を確認する:基本給への組み込みや名称変更で見えなくなっている場合、賃金台帳で実際の支給実績を確認します。

なお、「事業所が加算を受け取っているのに職員に支給していないのではないか(ピンハネ)」という疑念を持つ職員もいます。制度上は受け取った加算の全額を職員の賃金改善に充てることが原則で、未払いは違法のリスクを伴います。ただし、事業所内で柔軟に配分できるため、配分方法の違いが「ピンハネ」と誤解されることもあります。まずは就業規則と支給実績で事実関係を確認することが大切です。


7. 給与明細から消えたのはなぜ?基本給組み込み・名称変更の実態

「処遇改善手当が給与明細から消えた」と焦る介護職員は少なくありません。しかし多くの場合、制度が廃止されたわけではなく、支給形態や名称が変わっただけです。2024年6月の一本化を機に、支給方法を見直す事業所が相次ぎました。

明細から見えなくなる3つのパターン

  • 基本給への組み込み:手当を廃止し、基本給を引き上げる形に切り替えた事業所では、「処遇改善手当」の行が明細から消えます。
  • 名称の変更:資格手当・役職手当・業務手当など別の名称に統合した場合も、処遇改善手当としての行は見えなくなります。
  • 一時金・賞与払い:月額手当を廃止し、賞与や一時金として年数回まとめて支給する形に切り替えた事業所もあります。

手元に残る証拠で確認する

明細から見えなくなっても、処遇改善加算に基づく賃金改善が行われているかは確認できます。次の資料が証拠になります。

  • 就業規則・賃金規定:処遇改善手当の支給方法(基本給組み込み・賞与払い・名称変更)が記載されています。
  • 賃金台帳:実際の支給実績が記録されており、基本給の引き上げ分や賞与の内訳として確認できます。
  • 賃金改善計画書・実績報告書:事業所が都道府県へ提出する書類で、加算の使途が確認できます。

制度上、処遇改善手当は「処遇改善手当」という名称に限らず、資格手当・役職手当などの名称でも差し支えないとされています(厚生労働省のQ&A参照)。名称が変わっただけで制度は継続しているため、まずは就業規則と賃金台帳で実態を確認することをおすすめします。


8. 事業所向け|加算取得の実務と申請手続きの注意点

事業所の方にとって、処遇改善加算は職員の処遇改善と採用力強化の両面で重要な制度です。令和8年度改定では上位区分(Ⅰロ・Ⅱロ)が新設され、生産性向上に取り組む事業所ほど手厚い加算を受け取れるようになりました。

申請手続きの流れ

加算の取得には、所定の様式による申請が必要です。令和8年度改定に係る事務処理手順や様式例は、令和8年3月13日付の通知(老発0313第6号)で公表されています。主な流れは次のとおりです。

  1. 賃金改善計画の策定:加算を賃金改善に充てる計画を立て、所定の様式で提出します。
  2. 要件の整備:キャリアパス要件・職場環境要件・(上位区分の場合は)生産性向上要件を整備します。
  3. 申請・届出:都道府県へ所定の様式を届け出ます。
  4. 賃金改善実績報告:毎年度、加算を使った賃金改善の実績を報告する義務があります。

新しい加算率は令和8年6月以降の算定分から適用される予定です。上位区分への移行を検討する事業所は、生産性向上の取組を計画段階から盛り込むことが求められます。

未払いリスクに注意

受け取った加算を職員へ支給せずに留保することは、制度上認められていません。未払いが発覚した場合、返還指示や行政指導の対象となるほか、施設の評判悪化や採用困難につながるリスクがあります。賃金改善計画に沿って確実に支給し、毎年度の実績報告を適切に行うことが重要です。


9. 令和8年度改定のポイントまとめと今後の見通し

この節の要点 令和8年度(2026年)6月改定による処遇改善加算の主なポイントは、①対象が「介護職員」から「介護従事者」全体へ拡大したこと、②生産性向上に取り組む事業所向けの上位区分「加算Ⅰロ・Ⅱロ」が新設されたこと、③訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅介護支援など従来対象外だった領域が新たに算定可能になったこと、④改定率が全体で+2.03%(うち処遇改善分+1.95%)であること、⑤賃上げ目安が最大月額1万9千円であることの5点です。施行は令和8年6月以降の算定分からで、上位区分への移行が推奨されています。

令和8年度改定は、介護業界の人手不足に対処し、生産性向上を促す方向性が明確になった改定です。5つのポイントを改めて整理します。

  1. 対象の拡大:「介護職員」から「介護従事者」全体へ対象が広がり、より多くの職員が賃金改善の対象になります。
  2. 上位区分の新設:生産性向上・協働化に取り組む事業所向けに「加算Ⅰロ・Ⅱロ」が新設されました。
  3. 新規サービスの対象化:訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅介護支援など、従来対象外だった領域も算定可能になりました(訪問介護は従来から対象サービスです)。
  4. 改定率:全体で+2.03%(うち処遇改善分+1.95%)の引き上げです。
  5. 賃上げ目安:最大で月額1万9千円(全介護従事者月1万円+上位区分+7千円)の引き上げが目標です。

今後の見通しとして、生産性向上が処遇改善の鍵になることは明確です。上位区分への移行を検討する事業所は、ICT活用や協働化など、生産性を高める取組を計画に盛り込むことが求められます。職員の方にとっても、処遇改善手当の金額は事業所の取組次第で変わるため、就業規則や賃金台帳で実態を把握しておくことが大切です。

処遇改善加算の生産性向上要件、AIでクリアしませんか?

令和8年度改定では、ICT活用や協働化などの生産性向上の取組が上位区分(Ⅰロ・Ⅱロ)取得の評価軸になりました。介護記録のAI化は、記録業務の負担削減を通じて生産性向上要件の達成を支援します。

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10. よくある質問(FAQ)

Q1. 処遇改善手当は完全無料でもらえるものですか?

処遇改善手当は、職員が自己負担なく受け取れる手当です。ただし「無条件でもらえる」わけではなく、事業所が処遇改善加算を取得していること、職員が支給対象の要件(就業規則の規定等)を満たしていることが前提です。事業所が加算を取得していない場合や、就業規則で不支給とされている場合は受け取れません。

Q2. 処遇改善手当をもらえないのは違法ですか?

事業所が加算を受け取っているのに職員へ支給していない場合、制度上の原則(全額を職員の賃金改善に充てること)に反するおそれがあり、違法のリスクを伴います。ただし、事業所内で柔軟に配分できるため、配分方法の違いが「もらえていない」と誤解されることもあります。就業規則と賃金台帳で実態を確認した上で、問題がある場合は労働基準監督署や都道府県の介護保険担当窓口が相談先になります。

Q3. パートやアルバイトも処遇改善手当の対象ですか?

処遇改善加算の対象は、介護に直接携わる職員です。令和8年度改定で「介護職員」から「介護従事者」全体へ対象が拡大されたため、パートやアルバイトを含む介護従事者も配分の対象になり得ます。ただし、就業規則の支給ルール(勤務日数・勤続期間など)によって実際の支給有無が決まります。

Q4. 転職後、処遇改善手当はいつからもらえますか?

転職先の事業所が処遇改善加算を取得しており、就業規則で支給対象となっていれば、就業規則の定める期間(試用期間を除く場合など)を経た後に支給されます。転職前の事業所での取扱いは引き継がれません。転職を検討する際は、事前に処遇改善手当の有無・金額を確認することをおすすめします。

Q5. 令和8年度改定で金額は増えますか?

令和8年度改定では、賃上げ目安が介護従事者全体で月額約1万円、上位区分(Ⅰロ・Ⅱロ)を取得する事業所では更に月額7千円が上乗せされ、最大で月額1万9千円の引き上げが目標とされています。ただし「目標」であり、事業所が上位区分を取得し、賃金改善計画を実施した場合の目安です。全職員に一律に増えるわけではありません。

Q6. 処遇改善手当はいつから始まった制度ですか?

処遇改善加算は平成24年度の介護報酬改定で創設されました。その後、令和元年10月に特定処遇改善加算、令和4年10月にベースアップ等支援加算が創設され、令和6年(2024年)6月に従来の3つの加算が「介護職員等処遇改善加算(Ⅰ〜Ⅳ)」として一本化されました。令和8年度(2026年)6月改定で上位区分(Ⅰロ・Ⅱロ)が新設され、現在に至っています。

Q7. 介護福祉士の資格がないともらえませんか?

かつての特定処遇改善加算では、経験・技能のある介護職員の判定で介護福祉士資格などが重視されていました。一本化後は、資格の有無に関わらず全職員を対象に配分できる区分もあります。ただし、事業所の配分ルールによっては資格の有無で配分額が異なることがあります。詳細は就業規則でご確認をおすすめします。

Q8. 就業規則に処遇改善手当の記載がない場合はどうなりますか?

事業所は処遇改善手当の支給方法を就業規則に明記することが義務付けられています。記載がない場合、制度上の運用として不適切なおそれがあります。総務や労務担当に問い合わせ、就業規則・賃金規定での扱いを確認することが効果的です。基本給への組み込みや名称変更で記載が分かりにくくなっていることもあります。

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CareShift Media 編集部

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